10名以上のPdMを擁し、スモールなチームで戦っていく。
及川
まずは御社が手がける事業について教えていただけますか。
水島
いま当社が注力している事業は大きく3つあります。
ひとつは、印刷や広告のシェアリングプラットフォーム「ラクスル」を運営する印刷事業。印刷物の制作のみならず、新聞折込やポスティングなどの集客支援サービスまでワンストップで提供しています。
そして二つ目は物流のシェアリングプラットフォーム「ハコベル」の物流事業で、荷主と運送会社をマッチングさせることで社会問題になっている物流クライシスの解決に貢献しています。
さらに最近、新たに立ち上げたのがテレビCM事業。「テレビCMの民主化」をビジョンに掲げ、これまで不透明だったテレビCM枠の価格を見える化し、誰でも容易にCM広告を打てるプラットフォームの構築やテレビCMの制作・放映を行っています。
及川
全体で何名ほどのプロダクトマネージャー(PdM)がいらっしゃるのでしょう。
水島
いま私が率いる印刷事業で8名、物流事業で3名 テレビCM事業で1名のPdMがいます。印刷事業になぜPdMが8人いるのかと言えば、それは開発チームが8つ存在しているから。当社の柱である印刷事業はシステムが大きく、サービスも多角化しています。
そこで仮想的にプロダクトを分割し、それぞれミッションを掲げてスモールなチームで戦えるような体制にしています。ひとつのチームが、PdMとエンジニア、デザイナー合わせて7~8人で組まれており、「スクラム」の手法に則って開発を進めています。
及川
ラクスル事業の8つのチームは、それぞれどのようなミッションを担っているのですか。
水島
8チーム中、3つのチームは横串で「ユーザー体験」で分けています。
ひとつは、印刷物をオンラインでデザインするサービスに特化したチームで、ミッションはユーザーが満足のいくデザインをスピーディーに制作できる仕組みを作ること。
二つ目は、DTPの印刷データをチェックするシステムを手がけるチームで、それまで人手を要していたチェック作業を自動化することがミッションです。
そして三つ目がアナリティクスのチーム。こちらのミッションはユーザーの行動を分析し、ラクスルのサービスをより利用していただくマーケティングを図っていくことです。
残りの5チームは、売上や粗利の責任を持つビジネスユニットと一緒に動いており、それぞれ新たな商材を開発したり、その商材に適した最高のEC体験を実現していくことがミッションです。
たとえば最近、ノベルティなどのモノに対する印刷サービスも起ち上げ、それに伴って新たなチームが発足しました。通常のチラシや名刺などの紙の印刷物と違って、立体的なモノへの印刷ですからWeb上で3Dのようにプレビューできる体験が必要であり、そうしたシステムの開発などを進めています。
また、年賀状やダイレクトメールなどの宛名リストなどを効率的に管理するCRMシステムを手がけるチームもあります。印刷とひとことで言っても、実は奥が深くていろいろなシーンやニーズがあり、それぞれユーザー体験も異なる。
まだまだ我々が解決できるマーケット課題はたくさんあり、それに対応して新たなユーザー体験を提供していくチームをさらに増やしていきたいと考えています。