民間の立場から新しい行政のインフラを創ることがミッション。
及川
はじめに、本庄さんがVPoPを務めるグラファーがどんな事業を手がけているのか、ご説明いただけますか。
本庄
我々は、民間の立場から新しい行政のインフラを創ることをミッションに掲げ、2017年に起ち上がったスタートアップです。複雑で難解な行政への申請手続きを、デジタルテクノロジーを活用して簡便なものにして、住民の方にも自治体の方にも価値を提供したいと考えています。
及川
具体的にどのようなプロダクトやサービスを提供されているのでしょうか。
本庄
大きく3つあります。ひとつは社内でエンドユーザー製品と呼んでいるものですが、住民や事業者の方々に向けて、行政への申請手続きを簡単に行えるプロダクトを提供しています。
たとえば、法人の事業者の方々が登記簿謄本を取得する際、オンラインで申請することもできますが、法務省が提供するシステムは手順が複雑で使いづらいのが実情。
そこで我々がスマホで簡単に申請できるシステムを裏側でRPAを動かしながら提供し、手続きの煩わしさを解消しています。行政と住民の間に立って、いわば各種の申請を自動的に代行する仕組みを提供しており、これはエンドユーザーから直接対価をいただいているサービスです。
及川
いまご紹介いただいた申請手続きを簡単にするソリューションは、御社が提供するプロダクトと行政のシステムの間に、ユーザーからは見えない隠された仕組みがあるのですね。
本庄
ええ。ソフトウェア的に例えるなら、行政が運用しているインターフェースと、住民や事業者が望んでいるインターフェースにミスマッチが生じていて、それを我々が巨大なアダプターを作って埋めている感じです。
及川
なるほど。あと残りの二つはどのようなプロダクトやサービスですか。
本庄
先ほどのエンドユーザー製品は、行政の意向に関係なく我々が勝手に作って提供しているものですが、自治体に公式に採用されているプロダクトもあります。
それが「Graffer スマート申請」というスマートフォンで手続きが完結できるデジタル行政プラットフォームで、すでに多くの自治体のお客様に導入いただいています。
たとえば横浜市で実施された、コロナ禍で売上が落ちた企業への「危機関連保証認定」の申請にこの「Graffer スマート申請」が使われています。そして三つ目が2020年からスタートした、自治体のデジタルアウトソーシングです。
これはプロダクトの提供だけにとどまらず、自治体の業務そのものを我々が請け負うサービス。こちらも、神戸市が実施した「中小企業チャレンジ支援補助金」の申請受付から審査、振込までのバックヤード業務を我々が担い、デジタルの力で効率化を図るなど実績が上がっています。
及川
たいへん興味深い事業ですね。この事業を御社はいま、何名の社員で推進しているのでしょうか。またそのうちプロダクトマネージャー(PdM)は何名いらっしゃいますか。
本庄
社員数は日々増えていますが、現在35名ほどです(2020年12月時点)。そのうちPdMは3名で、CEOの石井と私ともう一人が担っています。