COOへのキャリア
COOは一般的に「Chief Operating Officer」の略称として利用され、日本では「最高執行責任者」と訳されることもあります。
「CEO(Chief Executive Officer:最高経営責任者)」が企業の経営全般に対して責任を持つのに対し、CEOが最終決定を下した経営的な戦略に関して、COOは日々の業務執行の責任を請け負います。つまりCEOとCOOは一体的な関係性にあり、この連携により企業経営をしていくことになります。
COOの仕事とは
COOは、経営における日々の業務執行の責任を負う立場にあります。CEOが立案した経営方針や戦略に沿った業務を実行するのがCOOの役割です。CEOが5年先、10年先の未来を見据えた経営戦略を練るのに対し、COOはそうして練られた戦略を、現在の日々の業務に落とし込んでいく責任を負っています。
言い換えると「未来の自社のあるべき姿を構想し、そのための布石を打つ」のがCEOの仕事であり、「現行の事業を成功に導き、収益を上げ、事業成長させる」のがCOOの仕事です。このように見ている時間軸の視野の違いが本質的な役割の違いとも言えます。
こうした役割分担が生まれた背景には「経営の複雑化」があります。企業経営がどんどん複雑かつ加速化している現在では、執行役の負担は増加する傾向にあることから、役割を分担してそれを軽減するためにCOOという役職が生まれました。COOを置くことにより、業務執行の細かい点まで目が行き届くようになるというメリットがあります。
COOに求められるスキルとは
他の経営幹部であるCFOやCMOなど担当領域における高い専門性が求められるのと比較すると、COOはバックグラウンドが多彩であるケースが多いです。それは「どうしたら企業、事業としてのパフォーマンス、成果が最大化するか?」というテーマに関することは何でもやる役割とも言えるからです。
例えば、既存事業を伸ばすだけでなく、新規事業を作る、強い組織を構築する等、役割が多岐に渡ります。また事業上の課題はもちろん、人・組織の問題、資金繰りの問題、トラブル対応など幅広い領域の問題解決が求められます。
また会社は順調な時だけではありません。事業やプロジェクトのストップを決断せざるを得ない時や、成長する事業や組織に、ついて来れなくなった社員への処遇など、厳しい意思決定をする必要があります。意思決定自体は経営陣で行うものですが、その説明責任や実行は基本的にはCOOが行うことが多くなります。CEOは常に未来を向いていてもらう必要があるからです。
ある企業のCOOが、COOは「Chief Other Officer」という表現をされていましたが、企業経営、運営の中で発生する三遊間にあるボールをしっかりと拾い、組織に貢献することが求められます。他の経営メンバーやCEOの強みや能力との補完関係でどんなスキルが求められるかは会社によっても、企業フェーズによっても異なります。
- 共通して求められるスキルを挙げると以下になります。
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- 経営、事業への強いコミットメント力(修羅場から逃げない胆力)
- 組織マネジメント力(人心掌握力)
- 課題発見能力と、解決のためのプロジェクトマネジメント力
- 高いコミュニケーション力(組織全体へのコミュニケーション力)
- チームビルディングを含めたリーダーシップ

COOへのキャリアパス
COOのキャリアパスですが、上記で記載した通りバックグラウンドは多岐に渡るのが特徴です。ただしどこかの領域で成果や結果を出すことにコミットメントし、修羅場などを含めて苦労をされた経験がある方が、結果的にCOOになられています。
役割が多岐に渡ったり、領域が曖昧になりがちだからこそ、COOは明確にコミットメント領域を決めて、それを内外に打ち出していくこと、その領域を「自分から」選んでいくことが非常に重要です。COOという守備範囲が広くさまざまな役割を任されるポジションだからこそ、自身の得意領域を意識して「どんな領域で価値発揮をするか?」をベースにコミットメント領域を決めていく、言い換えると「経営者としてのアイデンティティを持つ」ことが求められます。
- COOへのキャリアパス例(COOになる前に担っていた役割例)
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- CEO(社長経験者・子会社経営含む)
- CMO(ブランドマネージャー・マーケティング責任者)
- CFO
- PEファンド出身者(バリューアップ経験者)
- プロダクトマネージャー
- 経営戦略コンサルタント(戦略コンサルティングファーム出身)
- 事業責任者
- 営業責任者(セールス・マーケティング組織の責任者)
参考リンク
これまでに弊社の各メディアにご登場いただいたCOOの方々のインタビューやセミナー等をご紹介します。COOのミッションや仕事内容、キャリアの築かれ方などご参考にご覧いただければと思います。