経営幹部が転職する際、希望条件を多く設定すべき理由
コンサルタント 入江 祥之
公開日:2023年11月20日
経営幹部の方々と面談する中で感じるのは、意外にキャリアに対する希望要件があいまいな方が多いことです。例えば、「経営に近いところが望ましく、CXOの中ではCOO寄りが良い」「IPO前の会社のCFOポジションが良い」くらいの条件を希望される方もいます。
少し極端な例ではありますが、上記に報酬の希望が加わるくらいの条件で、求人サーチを依頼されることが珍しくないのです。
もしかすると、ハイクラスの案件があまり多くないため、細かな条件を設定しすぎないことで、幅広く可能性を知りたいと思われているのかもしれません。
しかし、キャリアが長い方なら、さまざまな環境で多くの方々と働いた経験があります。少なくともジュニアクラスの方より、自身がどのような環境や人とフィットするのかを理解されているはずです。
例えば、求人サーチの際に以下のような希望要件を追加できれば、我々は格段に精度の高い求人を探すことができます。
【会社の状態】
- 会社のタイプ(事業会社、コンサル/ファンド系)
- 企業ステージ(スタートアップ、メガベンチャー、大企業)
- 成長段階(成長企業、ファンドの投資先などの再生フェーズ、成長の踊り場いずれがよいか)
- ドメスティックか、グローバルか
- ビジネスモデル(BtoB、BtoC)
- 単一サービスか、コングロマリットか
- 事業のスピード感
- テクノロジー、戦略、オペレーションのどこに強みがあるか
- アセット(プラットフォーム、データ、人材、投資予算など)の豊富さ
【経営者や人材、文化について】
- 経営者の年齢層(若い経営陣がいいか、マチュアな経営陣か)
- 既に強い経営陣が揃っている、もしくは自らが存在価値を発揮したいのか
- 経営者のタイプ(ビジョナリー、クレバー、野心的で尖っている、合理型、情理型など)
- 創業社長(トップダウン・意思決定早め)か、サラリーマン社長(ボトムアップ・意思決定遅め)・コンサル・投資銀行・ファンドなどプロフェッショナルファーム出身者がどのくらいいるか
- 文化(社会貢献を重視、社員を大切にする、売上・利益重視か)
また、次のようにご自身の強みや弱み、経験・スキルの観点から、求人条件を設定することも可能です。
【自身の強みや弱み、スキル】
- 組織マネジメント力
- リーダーシップ力
- 戦略的思考力
- 専門スキルや得意領域はなにか
- 最新技術の活用やITリテラシーがどのくらいあるか
- 人的ネットワーク、社外とのアライアンス
- 自ら手を動かせるか
20ほどの例を紹介しました。これらの情報があるほどマッチングの精度が高まります。キャリアコンサルタントとの面談でこれぐらいの粒度で希望要件を伝えられれば、精度の高い案件紹介が期待できるでしょう。
また、転職活動を始めたばかりの方なら、上記のような視点で自己分析を進めておくと、納得感の高い意思決定ができるにつながります。
転職は人生の大きな決断ですし、キャリアが長ければあるほど、ご自身のフィットしやすい環境は自分自身が最も理解しているものです。ぜひ時間をかけて自己分析や希望条件を整理してみましょう。