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CXOのキャリアコラム

複数の生態系を経験することで、個人のキャリアも進化していく

コンサルタント 入江 祥之

公開日:2024年5月20日

ダーウィンの進化論は個人のキャリアにも当てはまる

生物は「変化」を続けていて、環境に適応できた生物のみが生き残っていくという「ダーウィンの進化論」は、キャリアにも通じると考えています。

なぜなら、経営幹部として活躍されている方々を見てみると、過去のキャリアにおいて、以下のような生態系に属したり、大きな環境の変化を経験していたりすることが多いと感じるからです。

・コンサルや投資銀行、ファンドのようなプロフェッショナルファーム(優秀な集団×ハイプレッシャー×ハードワーク)
・著名な経営者や厳しい上司の元で薫陶を受ける
・起業やスタートアップでの経験
・急成長企業(会社の成長フェーズでの経験)
・優秀な人材が集結する会社/部署
・グローバルエクセレントカンパニー
・海外MBA(異文化交流、国際感覚)
・ターンアラウンドやファンド傘下の企業
・ブラック企業(超トップダウンやハードワーク)

一昔前までは、日本では終身雇用が一般的で、社内異動はあっても転職などによる大きな環境変化がなかったため、個人の進化の機会は少なかったかもしれません。裏を返せば、高度成長期では多くの会社が急成長していたので社内に成長機会があった、生き残ることができたとも言えるかもしれません。

転職活動は、師匠を探しに行くアクションとも捉えられる

「市場価値を高めるためには、スキルのタグの掛け算が大事である」という話を聞くことが多くなりました。例えば、フィンテック×AI×事業責任者×グローバル、といった具合です。
確かに求人の要件に対して、上記のようにタグがいくつも当てはまっていればマッチング度合いは高くなります。ただ、我々キャリアコンサルタントの立場から見ると、スキルのタグと同じかそれ以上に、先ほどお話ししたような環境(生態系)で鍛えられたことがあるかが重要だと思っております。

私自身、今でいうJTC(Japanese Traditional Company(伝統的な日本企業)の略)からオーナー経営者×営業ベンチャーへの転職経験があり、カルチャーがまったく異なる環境に衝撃を受けました。しかし、今となってはその経験が大きな財産となっております。

また、高学歴でこれまで順風満帆な人生を歩んできた方が、戦略ファームや外資系金融などで初めての大きな挫折を味わったり、海外MBAを経て人生観が大きく変わったりという話を聞くことも多いです。つまり、変化の激しい環境(生態系)に飛びこむことで、プロフェッショナリティ、アントレプレナーシップ、コミットメント、やり抜く力、環境適応能力などのマインド面が格段に鍛えられるのだと思います。

あとは、キャリアの大きなトランジション(変化や過渡期)という観点では、師匠を持つ、ということも非常に大きな転機に成り得ます。人は良い師匠に出会うことで飛躍的に成長することがあるからです。転職活動は師匠を見つけるという観点では逆ドラフトのようなもので、転職活動を通じてたくさんの経営幹部と会うことができますので、誰の元で働けるかを選べるという側面があります。一つの会社に長く所属し続けると、上司が変わらなかったり、変わったとしても運次第になりますので、自ら上司を選びに行く(師匠を探しに行く)というアクションもオススメだと思います。

人生100年時代と言われる今、キャリア人生はますます長くなっていくでしょう。キャリアの前半にあたる20~30代ぐらいで複数の生態系を経験すると、専門性のタグを増やすことができ、良い師匠と巡り合うチャンスも広がります。そして、変化のある環境でマインド面を鍛えられれば、40代以降に生き残る力は格段に高まります。

そうなれば、キャリアの選択肢が増えるため自らキャリアを選ぶことができ、豊かな人生を送れるのではないでしょうか。人生は一度きりです。主体的にさまざまな機会にチャレンジし、ぜひ自分らしい生きる道を見つけていただければと思います。

(2024年5月20日)

Author

入江 祥之

コンサルタント 入江 祥之

大学卒業後、野村総合研究所に入社。同社では主に IT コンサルティングに従事。その後、転職エージェントに転身してからは、これまで一貫してコンサル業界の転職サポートを中心に活動して参りました。