面接官の本音 vol.120   株式会社電通デジタル

株式会社電通デジタル

公開日:2018.09.19

いま急速に進化を遂げるデジタルマーケティングの領域を制すべく、電通グループの総力を結集して新たに設立された「電通デジタル」。キャリア人材の採用にも力を入れており、人事部を率いる佐藤氏に採用方針などについてうかがった。

株式会社電通デジタル CEO直轄 人事部 部長 佐藤邦彦氏

Contents

【インタビュアー】コンサルタント 岡田 麗

その方が積み重ねてきた“ストーリー”から、電通デジタルでの適性を見極めたい。

Q

面接時に必ずされる質問はございますか?

佐藤

まずはその方の“ストーリー”を丁寧にお聞きしています。生い立ちから学生時代 就職、転職という流れのなかで、その方がどんな環境を歩んできたのか 、どんな人柄なのか、どんな価値観なのか、どんなふうに生きてきたのかを知りたい。おそらく順調な時期もあれば、そうでなかった時期もあるはず。単に事実としての経歴をおうかがいするのではなく、キャリアの節目でどんな行動を取り、どんな心情だったのか、その方がこれまで歩んできた“ストーリー”をできるだけ聞きたいですね。

Q

そうした“ストーリー”から、佐藤さんは何を見極めようとされているのでしょうか。

佐藤

当社は生まれてまだ1年ちょっとの新しい会社です。会社の成り立ちもイレギュラーで、デジタルマーケティングを手がけていた電通グループの2社が統合し、そこに電通からの出向者や設立後に採用されたプロパー社員が集い、これから融合を図ろうとしている段階。まだ混沌としているのが実情であり、体制も十分に整ってはいません。普通の会社なら当たり前に整備されている機能も、まだ出来上がっていなかったりする。こうした状況に動じることなく、肯定的に受け入れて、自分の考えを切り替えられることが大切。入社後に自分の居場所、自分ができることをすぐに見つけられる人は立ち上がりが早いので、そうした資質をお持ちかどうか、“ストーリー”から見極めたいと思っています。個人的には、これまで苦労されてきた方、修羅場をくぐり抜けてこられたような方がいいですね。まだ当社には取り組むべき大変なテーマがたくさんあるので、そうした経験のお持ちの方のほうが活躍のイメージが湧きます。

Q

入社してからの“立ち上がり”を重視されているのですね。

佐藤

はい。特にリーダークラスの採用は、入社後にすぐここで立ち上がれるかどうかを重要視しています。世の中に優秀な人材はたくさんいますが、お膳立てされた状況では高いパフォーマンスを発揮できるものの、何もセッティングされていない場所に身を置くと突然フリーズしてしまうような方も一定数いるので、それでは当社のように未成熟で変化の激しい環境だとやはり厳しい。雑多な環境に放り込まれても、周囲を把握して自分ができることとできないことを判断し、他人に任せるべきことは任せ、自分の居場所を見出して早いタイミングでプレゼンスを発揮することがここでは求められる。そうした姿勢は習って身につくものでもなく、その方の過去の実戦経験から培われるもの。事前に、当社がいまどのようなフェーズにあるのか包み隠さずお伝えしておりますが、その方のこれまでの経験から、この混沌とした状況をどれだけリアリティを持って理解されているかを、面接時のやりとりから判断させていただきたいと考えています。

株式会社電通デジタル

ご自身の経歴を徹底的に振り返り、頭の中で映像化できるぐらい整理しておいてほしい。

Q

そのほか、面接時に見極めたい資質はございますか。

佐藤

新しいことを吸収する力ですね。我々が手がけるデジタル領域は、常に新しいテクノロジーやサービスが現れる世界。すでに教科書があるのは過去のナレッジであり、誰かがまず発掘し、その専門家が生まれ、本が執筆されて講座が開かれ体系化されていく。我々は、そうした時間を経て確立されたナレッジで商売しているのではない。新しい理論やツールが出てきた瞬間に自分のものにしてマネタイズしていく。それが体系化された時には、もう我々は稼げない。ですから面接時に「何を勉強すればいいですか」と質問してくるような方はあまり向いていませんね。そうした資質も、先ほどお話しした“ストーリー”のなかで見極めていきたいと考えています。これまでの経験の中で、誰かに習ったのではなく、自分で主体的に情報を集めてモノにしてきたかどうか。「勉強するのが好きですか」「チャレンジするのが好きですか」とうかがえば、みなさん「はい」と答えるに決まっています。そんな質問を面接でするつもりはありません。

Q

応募者の方が面接に臨む際、準備しておいてほしいことはございますか?

佐藤

逆に面接の準備はしないほうがいいですね。面接で聞かれたことの答えをあらかじめ想定おくのは、まったく不毛なこと。それよりも取り組んでおいたほうがいいのは 自分のこれまでを徹底的に振り返って整理すること。かなり細かいところまで振り返って、その時は気づいていなかったものの、いま思えばそうだったというポイントをたくさん抽出しておく。前職で経験して学んだことを、映像で思い出すぐらい振り返っておくと、こちらがおうかがいしようとしていることとの親和性が高いと思います。

Q

では最後に、電通デジタルにこれから参画してキャリアを積む魅力について、候補者のみなさんにメッセージをお願いします。

佐藤

過去に大きな成果を上げている方ほど、『あの時大変だったけど充実していた』と思える時期が必ずあると思います。そうした大変な環境に身を投じることは、大変であるものの、後から振り返ると楽しく感じるもの。当社は、ここから数年がまさにその時期になると考えています。いま入社して10年後に振りかえった時、きっと同じような醍醐味を堪能できるはずです。また、若手や中堅の方にとっては、自分の力を試すにはいい環境だと思います。まだ何もお膳立てがなくチャレンジせざるを得ない状況ですし、業界の成長や企業の成長、ビジネスの成長に人材なり体制なりが追いついていないので、背伸びしないと対応できない。背伸びするということは、それはすなわちチャレンジするということ。大変ですが、おそらく他の会社では任されないような仕事を早くから担えるチャンスは大きい。組織の成長もなく事業も安定している会社では、社内で人材が滞留し、昇格するにもなかなかチャンスが巡ってこないと思います。しかし当社は、たとえ入社したばかりの人材であろうと、やる気とポテンシャルがあるのなら、どうぞやってくださいと。成長スピードは本当に速いと思いますね。

インタビュアー / コンサルタント 岡田 麗

※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。

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