公開日:2013.10.02
日立コンサルティングは、1910年の創業以来、優れた技術と製品の開発で社会の発展に貢献し、いまや巨大な存在に成長した日立製作所100%出資のビジネスコンサルティング会社である。日立グループ全体として、ITで高度化した安心・安全な社会インフラを提供する「社会イノベーション事業」に注力するなか、コンサルティング機能を提供する同社の役割はますます重要になっている。今回は公共領域を担当する同社の苅山真樹シニアディレクターに、求める人材像について語ってもらった。
株式会社日立コンサルティング シニアディレクター 苅山真樹氏
【インタビュアー】コンサルタント 永田 憲章
「日立」といえば日本人なら誰でも知っている企業グループだと思いますが、そのなかの日立コンサルティングとはいったいどんな会社でしょうか。
当社は日立製作所100%出資のコンサルティング会社で、日立グループがITビジネスでトータルソリューションを提供するため、お客様の課題分析や達成目標の設定、戦略立案などのコンサルティングを行うことをミッションとして設立されました。連結売上高が9兆円を超える日立グループでは事業ドメインごとにカンパニー制が採用されており、当社は情報通信システムグループに属しています。さらに、現在は日立グループ全体の経営方針としてITで高度化した社会インフラを提供する「社会イノベーション」の強化が打ち出され、ITと日立のつくるモノ、製品との融合が図られています。そうした新しい取り組みや、日立グループとしての事業戦略をどうするか、従来は各カンパニーで別々に行っていたことをトータルでお客様に提案するにはどうすればいいか、などといった検討の場面に私たちは参加し、新しいビジネスをプロデュースする活動を支援しています。
顧客の要望が複雑化、高度化するなかで、それらに対応する必要が生じているのですね。
確かに、かつては単一製品・サービスの販売だけでお客様の要望に対応できましたが、やがて本質的な課題が何かを探り当て、有効な戦略を立案し、それをきちんとやり遂げて当初想定した通りの効果を出すにはどうすればよいかまで求められるようになったため、コンサルティング機能の提供が必要不可欠になったと言えます。他のコンサルティング会社との違いとしては、日立グループのバックボーンがある点に当社の特徴があります。また、視点を変えて日立グループの立場から当社を見ると、製品やサービスを単体で売るのではなく、私たちがお客様の本質的な課題を把握し、最適なソリューションとして製品やサービスを販売すると、日立の提供する価値を倍増することができます。そこに私たちのグループ内におけるミッションがあり、日立グループの持っている価値を最大限に高めるために、新しい事業をプロデュースしたり、新しい取り組みを支援したりする役割を担っています。
ご担当されている公共領域の業務とはどんな内容ですか。
お客様は中央官庁や外郭団体、地方自治体、独立行政法人などです。解決すべき課題や達成すべき目標があるのは企業も公共団体も一緒で、行政は社会動向を踏まえたうえで新しい政策を考えていかなければいけません。現在であれば社会保障や消費税といったテーマがクローズアップされていますが、私たちはこうした政策を検討する際に必要な調査や、政策を実行する際に必要なITシステムの検討、実際のITシステム構築における全体計画の立案と実行のご支援などを行っています。こうした業務は日本という国に対するミッションを感じられる仕事なので、非常にやりがいがあります。
社員に求めている資質は何ですか。
三つあります。まず論理的思考。これはコンサルタントとしての基礎体力であり、欠けていたら考えることも表現することもコミュニケーションをとることも困難になります。次にファシリテーション能力。単に会議を切り回す力だけを指しているのではありません。私たちの事業ドメインである公共マーケットはステークホルダーが非常に多く、「こうすべきです」と提案するだけではプロジェクトを動かすことができない。各々のステークホルダーのバックグラウンドやお考え、利害関係を理解したうえで、プロジェクトに対するオーナーシップや実行へのコミットメントを引き出さねばなりません。そして三つ目がコミットメント。これにはいくつか種類があって、まず自分の成長に対するコミットメント、担当プロジェクトへのコミットメント、そしてお客様の課題解決へのコミットメントを持っているかどうか。誰にも負けないくらいこれらのコミットメントを持ち、熱い思いで仕事に取り組んでいるかを重視しています。
面接で必ず聞く質問はありますか。
これまでのご経験と実績について質問するのは当然ですが、加えて「いま、一番課題として認識していること」を必ず聞いています。おうかがいする課題認識はその時々で異なり、個人のキャリアに関する課題のときもあればコンサルティング業界の課題、あるいは政府の政策や日本社会の課題のときもあります。課題認識の有無はコミットメントの有無に通じます。コミットメントの前提となるのは、「こうありたい」という姿と現実とのギャップです。たとえばお客様に対し、「本当はこの水準までやるべきなのに、いまの自分はここまでしかできない」という課題認識があってはじめてコミットメントが生まれるのです。そうしたことを常日頃から考え、自分や周囲のことを客観的に評価できているかが、課題認識に関する質問への答えから現れてきます。
日立コンサルティングに興味を持った方にアドバイスをお願いします。
仕事は楽しくないと意味がありません。では楽しい仕事とは何か。それは誰かのために全力を尽くせるのと同時に、自分の成長が実感できる仕事だと思います。私たちが担当している公共領域の仕事は、必然的に日本のためになる仕事ですから「誰かのために」というやりがいは非常に高い反面、実行にまで落とし込むことが非常に困難な仕事でもあります。しかし難易度が高い仕事であるからこそ、自分の成長にもつながります。誰かのため、自分の成長のために全力でチャレンジして、一緒に楽しく仕事のできる方にぜひご応募いただければと思います。
インタビュアー / コンサルタント 永田 憲章
※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。