公開日:2013.10.02
国内外の教育から生活、シニア・介護、語学・グローバル人材教育まで幅広く事業展開を行うベネッセグループのなかで、主に教育と生活領域の事業を行っているのがベネッセコーポレーションである。主力である「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」の会員数は409万人という規模を誇り、海外通信教育講座の会員数も78万人に上る。一般に教育事業者というと保守的なイメージを持たれがちであるが、同社では既存商品やサービスのブラッシュアップにとどまらず、新しいチャレンジへ果敢に取り組むことによってビジネスを発展させてきたという。そんなベネッセコーポレーションが求めているのはどんな人材か。
株式会社ベネッセコーポレーション 東京本部 人財部 採用課 相本英樹氏
【インタビュアー】コンサルタント 工藤 直亮
ベネッセコーポレーションは「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」をはじめとする教育サービスでよく知られていますが、どんな特徴や風土を持った会社なのでしょうか。
当社の商品、サービスは人々の生活に関わることが多く、一般的な企業と比べ皆様の身近な存在になっていると思います。その背景にあるのは「Benesse =よく生きる」という企業理念で、商品やサービスはもちろん、自分たちの働き方を含めてこの哲学を大切にしています。当社の福武總一郎会長は「自分がどういうことをしてもらったら嬉しいかを考えなさい」とよく社員に話すのですが、そこに我々の立脚点があります。もともとは模擬試験や通信添削講座から始まった会社で、当初は高校生向けだった通信添削を中学生向け、小学生向け、幼児向けへと拡大し顧客層を広げるなど、新しいチャレンジに取り組む風土や「今までにないものを生み出していくんだ」という気質のある会社だと思います。
歴史ある通信教育サービスが中心ということもあって私は保守的なイメージを抱いていたのですが、実際はそうではないのですね。
おっしゃる通り基幹事業である進研ゼミには40年を超える歴史があり、当社には小さな改善を繰り返すことが得意という一面もあります。必ず年度ごとに講座や商品の企画をしっかり立てて実行し、その結果をお客様インタビューや利用度、顧客満足度など定性、定量の両面からしっかり検証して総括し、翌年の企画に反映させています。ただ、そうした既存のPDCAを繰り返しているだけでは本当に新しいチャレンジは生まれません。私たちは「進研ゼミの次世代化」というキーワードをよく使います。紙の教材と赤ペン先生の丁寧な添削に加えて、最近はデジタルメディアを使って会員同士がウェブ上でやり取りできるようにしたり、他の会員がどのくらい勉強しているかわかるようにしたり、通学中などのすき間時間に勉強できるようにしたりと、これまで大切にしてきた価値を踏まえながら双方向のコミュニケーションや利便性を高めるサービスの開発に注力しています。
ベネッセコーポレーションが求めている人材像について教えて下さい。
教育に対する関心や意欲が高くて、お客様の課題解決や価値の創造を通じ、人の役に立つことに喜びを感じられ、かつ当社の理念や教育の方向性に共感できる人。また、教育は人の人生に関わる仕事なので、誠実であることも欠かせません。これらの資質を前提として、新しいことに好奇心をもって挑戦できる人が求める人材です。
「新しいことへの挑戦」とは、たとえばどういったことでしょうか。
すでにある教材やサービスありきではなく、ゼロベースで「自分ならこういうサービスがあると嬉しい」「こんな新しい企画をつくったらどうだろう」と自ら考え提案し、推進していける人ですね。PDCAの枠内に留まると発想が広がりませんから、そもそも論に立ち返って発想を飛躍させ、自分で企画立案とその推進をできる人が欲しいです。
面接で必ず聞く質問はありますか。
これまでのご経験と実績、志望動機は必ず聞きますが、それ以外にはとくに設定していません。面接中に注意して見ているのは、先ほど申し上げた求める人材の要件に合致しているかどうかです。これまでの仕事の仕方や、どんな意識で教育に関わろうとしているのか、そもそもなぜベネッセに入社したいのかといった質問に対する答えを聞いていると、私たちが求める資質に合致しているかどうかがだいたいわかってきます。
ベネッセコーポレーションに興味がある人へメッセージをお願いします。
長く働いていると誰でも「人の役に立つ仕事に携わりたい」と思うのではないでしょうか。ベネッセでは「よく生きる」という哲学に基づいて、生活に密着した領域で人の役に立つ仕事ができます。これが当社で働く一番の魅力だと思います。仕事内容の魅力としては、新しいチャレンジを極めて大きな規模でできるダイナミックさにあります。「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」の会員数は409万人で、赤ペン先生は小中高合わせて約1万5000人います。日によっては何万枚の添削課題答案が届き、お客様からいただくお問い合わせは年間600万コール。この規模感で新しいことにチャレンジし、成功すると非常に大きな成果が出ます。私も以前、添削の仕組みの変革に取り組んだのですが、「そもそも」論に立ちかえって、今までのやり方を変えたことで億単位のコスト削減という成果につながるような経験もできました。
相本さんはずっと人事の仕事に従事されていたわけではないのですね。
当社は比較的異動が頻繁にあり、数年で仕事が変わることも多いです。私の場合は自分から「この部署に行きたい」と希望を出せる「青紙制度」を使い、進研ゼミの事業部門から人財部に異動しました。このように自分自身でキャリアを考え、自ら切り開くことができる制度があり、逆にそれが社員に求められる風土があるのも当社の特徴です。
インタビュアー / コンサルタント 工藤 直亮
※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。