公開日:2013.10.01
「対話の力で世界を変える」をミッションに掲げ、今年30周年を迎えるベルシステム24はコンタクトセンター最大手の企業である。あるべきコンタクトセンターのモデルやオペレーションのノウハウ、クォリティ、人材の教育体系など、日本のコンタクトセンター業界におけるスタンダードをリードしてきた同社ではさらなる飛躍に向けて、競合他社にはない新しいソリューションを提供し続けるための新規事業を推進し、それを実現する世界標準の「次世代コンタクトセンター」へと変革しています。それがどういうもので、そこではどんな人材が必要になるのか。いま「自社で即戦力としてイノベーションを起こし、シナジーを生みだせる人材を積極的に採用している」という浜口聡子専務執行役に話を聞いた。
株式会社ベルシステム24 専務執行役 人材開発部管掌 浜口聡子氏
【インタビュアー】コンサルタント 岡田 麗
ベルシステム24といえばコンタクトセンター最大手の会社として知られていますが、最近の状況について教えて下さい。
当社は今年で創業30周年を迎えます。最初は電話代行からスタートし、コールセンター、FAXやeメール、ウェブなどの様々なコミュニケーションチャネルを扱うコンタクトセンターへと進化してきました。現在も業界トップの位置にはありますが、業界全体がコモディティ化しつつある状況でもあり、今後はさらに一歩抜け出してダントツのポジションを確立していかなければなりません。当社は二年前に、経営体制を変えたことにより文字通り「ネクストステージ」への移行を推し進めてきました。この二年で会社を筋肉質に変え、これからはトップライン(売上)を更に伸ばしていこうという段階にあります。
そこで必要になるのはどのような人材ですか。
もともと当社は自由闊達で創造性を重んじる社風があります。社員の自主性を尊重し、自ら変えていく気概を大切にしてきましたが、それでも創業して30年も経つと安定志向が強まってきます。しかし、市場環境はそれを許してくれません。競争のなかから一歩抜きんでるために、この一年は社内では早期育成が難しい経験や能力を持った人材を外部から積極的に採用しています。既存の業務をしっかり運営し、改善プロセスを回していく人たちを育成する仕組みはすでに社内にありますから、たとえば他業界のトップ営業マンや数値を分析する能力とセンスを持ったコンサルティングファーム出身者など、社内で早期に育成困難な人材が中途採用の中心です。
単に既存業務を強化するための中途採用ではない、ということですね。
私たちは「次世代コンタクトセンター」と名付けていますが、当社はいま、競合他社にはない新しい価値を持ったソリューションの提供に取り組んでいます。私も現場出身なのでよくわかりますが、コンタクトセンターを動かしているのは人であり、最終的な優劣はヒューマンパワーで決まるという傾向があります。もちろんデータの収集や分析は行っていますが、それでも人の力に頼る部分が少なからず残っています。つまり、ノウハウが個人に帰属し、特定の個人がいないと運営が難しくなってしまうケースも見受けられます。一方、海外では既に人の力とIT技術力を融合させることにより、更に生産性高く、効率的にかつ、クォリティの高い画期的なサービス提供がなされています。そこで、日本より先進的なコンタクトセンター運営を行っている米国からCIOを招いたり、次世代コンタクトセンターの経験のある海外の人材を採用したりして、サービスのグローバル標準への進化を図っています。この取り組みを推進するためには、テクノロジーの力と共に、新しい価値観をもってイノベーションを起こし、既存の価値観との組合せでシナジー効果を発揮していただける人材が必要なのです。
求めている人材像について教えて下さい。
一つはコミュニケーション能力。もう一つは、当社は変革の真っ只中にあるので、変化の渦中に身を置くことが楽しいと思える人。そして「この会社を変えていくんだ」という意志とリーダーシップの持ち主。多くのステークホルダーがいる中でさまざまな利害関係を調整しながらプロジェクトをまとめていくリーダーシップのある方を強く求めています。地位を背景に「やれ」というのは簡単ですが、みんなが「そうは言ってもね……」と内心で思っているままでは結果としてうまくいきません。自分の意見を主張する一方でいろいろな意見を聞きながら最終的に一つの方向に集約できるという、地位ではなくその人の持つ真の力でチームをリードできる人がいま、私たちの欲しい人材です。
面接で必ず聞く質問はありますか。
これまでのキャリアのなかで「成功したこと」「失敗したこと」についてかなり具体的に聞いていきます。レジュメを拝見すると皆さん素晴らしい経歴をお持ちであることはわかりますが、その人の実力の程や当社とマッチするかどうかまでは見抜けません。具体的な話を聞いていくと、その方の人物像や仕事像が浮かび上がってきます。たとえば営業マネージャーであれば「成績の上がらない部下に対してはどのように指導して、どんな結果になったか」というような質問をするとその方の人となりが見えてきて、当社に入って活躍できるかどうかもイメージしやすくなります。
最近、中途採用して活躍している方の事例はありますか。
一年前に入社した、別業界で新規事業の立ち上げをされていた方のケースがあります。この方は当初、異業種からの入社で大変そうでしたが柔軟性と学習意欲の高さですぐにキャッチアップし、相手をリスペクトする姿勢で周囲からの信頼も得て、短期間に当社の新規事業立ち上げをリードする存在となりました。そして今期、新規事業部門の部長に昇格しました。
最後に、ベルシステム24に興味を持たれた方にメッセージをお願いします。
前にも述べたように創業30周年を迎えた当社は強固な基盤を築いてきましたが、そこに安住して次のステージに上がらなかったらこの先の30年はありません。そんな重要なステージにある会社に参画して、ぜひご自身の力で変革をリードして欲しいと思います。
インタビュアー / コンサルタント 岡田 麗
※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。