公開日:2019.02.12
世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現を目指し、様々なニーズに応えるソリューションを提供する同社。特に医療事業の消化器内視鏡は、世界シェア70%以上を誇る。同社の技術開発部門ソフトウェア・ICT開発本部にて、医療ネットワーク開発部部長を務める松浦靖氏と、基盤ソフトウェア開発部部長を務める江部康平氏のお二人にお話を伺った。
オリンパス株式会社 技術開発部門ソフトウェア・ICT開発本部 医療ネットワーク開発部部長 松浦靖氏
技術開発部門ソフトウェア・ICT開発本部 基盤ソフトウェア開発部部長江部康平氏
【インタビュアー】コンサルタント 神田 昭子
まずはお二人それぞれの部署について教えてください。
私は医療ネットワーク開発部で、内視鏡業務支援システムを開発しています。製品開発して売るのみでなく、SIのように導入からコンバート・運用までトータルソリューションとして病院をご支援している点が当社の中でも珍しいと言えます。
私は基盤ソフトウェア開発部で、全事業部向けに共通基盤となる技術を提供しています。画像処理のAI化や、自然言語解析など、新しい技術を採り入れて製品やサービスにつなげていく役割です。
どのようなバックグラウンドの方がいらっしゃるのですか?
我々の部署はIT、ヘルスケア、電子カルテなど様々な領域の経験者が入社していますが、共通しているのは健康を守ることに非常に関心が高いことです。医療従事者を目指していた人よりも、内視鏡検査での早期発見により家族のがんが治った経験などをきっかけに、人の命や健康を守りたいという強い想いを持っている人が多いです。
我々の部署は技術が好きな人が多数ですが、医療や人の健康に貢献していきたい人も多くいます。尖った技術を追求するタイプと、それをユーザーニーズに結び付けるタイプの2種類のメンバーが集まっており、最先端の技術に対する知見と、技術と課題をマッチングさせていくという両方のスキルが必要です。ただクライアントから聞いたニーズに応えるだけではダメで、最新のAI技術ではここまでできるということを知ったうえで、真の顧客ニーズを引き出すということが求められます。
江部さんは元々オリンパスソフトウェアテクノロジーに在籍されていましたが、2016年のオリンパスとの統合前後では、組織としてどういう変化がありましたか?
以前はグループ会社として技術寄りの立ち位置でしたが、統合後はオリンパスとしてお客様とも直接コミュニケーションを取り、ダイレクトにニーズを捉えられるようになったことが大きいですね。メンバーのモチベーションも上がり、生き生きしています。
エンジニアとしてやりがいが大きいのでしょうね。常に最新技術に触れられる環境なのでしょうか?
はい、AIの技術はスピードが速いので、キャッチアップできるようにアンテナの感度を良くしておくことが重要です。米国・中国などグローバル視点で最新技術をキャッチして部内ですぐ共有するようにしており、トップレベルの技術者とも交流できるような取り組みも現在進めているところです。
どのような方が活躍されていますか?
私の部署では、SEとしての経験が長く、ベーススキルを持ったうえで自ら企画がしたくて当社に入ってきている人たちが活躍しています。ドクターと直接会話をすると専門用語が多く出てきますしね。
医療業界未経験の方も多いのでしょうか?
私自身も含めて業界未経験者は多いですね。入社後の勉強はもちろん必要ですが、ドクターもエンジニアに近いところがあり、専門領域を分かってくれる人は可愛がられます。話上手な人よりも、相手の話を正確に理解しようとする人のほうがコミュニケーションはうまく取れると思います。
私の部署では、研究所の依頼を受けてソフト開発をしていた人や、科学的な解析処理をソフトで組んでいた人などが活躍していますね。例えば、元々は物理専門の人が、ドクターはどういう病変をみて胃がんの疑いがあると判断するのか等の医療専門領域を理解しようとキャッチアップに努め、今ではドクターと深い話ができています。ドメインの領域を知ろうとするマインドが重要です。
マインドについて、面接の中でどう確認するのでしょうか?
相手が何を考え、何が欲しいのかという事に気を配れているかどうかに尽きると思います。相手を知るために勉強を惜しまない姿勢があると、相手にも本気度が伝わり、もっと高い要求が来るようになります。そうすれば、相乗効果で良いものができます。パーフェクトでなくても、そうなりたいという想いがあれば良いと思います。
面接で必ず聞いていることはありますか?
プロジェクトの失敗事例は必ず確認しますね。想定外のことが起きた時にどう考えて対処したのかを聞くと、考えの深さが分かります。一方、成功体験についてはどのように考えて良い方向に持って行けたのか、過去の経験をどう活かしたのか、など成功要因を細かく聞くようにしています。そこに志向パターンや価値観が表れるため、大体のその人のスタンスが理解できます。
私は、若手の場合は5年後、10年後などキャリアの方向性については必ず聞きます。技術志向の人や事業に対する想いがある人など様々なタイプの人間がいる中で、これしかやりたくないという人より、技術と事業をバランス良く経験したい人の方が我々の部署には合っています。その両方を理解していないと新たなサービスを進められないですから。
面接で社会貢献をしたいと言う人は多いと思いますが、その想いの深さや本気度などはどのように見極めるのでしょうか。
最近は医療業界の人気がありますし、小売業界などにくらべて安定しているというのも正直なところだと思います。面接で社会貢献への想いを深堀りするというよりは、むしろどの分野でどう貢献したいのか、これまで何をやってきたのかなど、その方の専門性について深くお聞きします。例えば、具体的にどのようなデータを使ってどう顧客に価値を提供していたのか、といったことが私としては興味があります。今あるものを活かして、いかに早く安価で提供できるかという目利きができる人が欲しいですね。
社会貢献に関しては、今までのご経験の中でどの程度相手のことを考えて仕事をしてきたかという点を確認しています。言われたことを綺麗にまとめるだけではなく、相手が本当に困っているところまで踏み込んでやっているかどうかを見たいですね。
過去に面接でお会いした中で、良かった方の事例を教えてください。
お客様が困っていることに強い興味があり、考えついたことを具体的に語れる人がいいですね。例えばスタートアップを経験している方であれば、過疎地で医療が広がらないのでこういうサービスを展開した、等。そういう発想を持った人の話が聞けると、我々も刺激になりますし、一緒に様々なアイデアを考えられます。
それは意外ですね。スタートアップの方が貴社にチャレンジできるのですか?
当社の中でもかなり珍しい部署だと思います。国内のICTに対してPOC(概念実証)から携わり、我々自身が企画してオリンパスの知識や技術を活用し、事業化してお客様に価値提供ができれば、そんなに楽しいことはないでしょう。社内起業に近い環境と言えます。また、ドクターとの接点においても国内では当社に強味があるため、良いアイデアがあれば、すぐに聞きに行ける利点もあります。一方で、自ら道を切り拓いていくタフさは必要ですね。
どんなタフさが求められるのですか?
大企業で新しいことをやろうとすると様々な障壁もありますが、それを乗り越えてでも世に出したいというタフさを期待したいです。我々の部署には、新しいものをやろうというワクワク感があります。
逆に、面接であまり良くないと感じるのはどんなケースですか?
課題を表面的に捉えて、自分がこう思うからこうやりました、のみだと物足りなさを感じますね。本当に良いと思って作った技術でも、それが相手に役立っているのかという視点が必要だと考えています。もちろん私も相手からなるべくその視点を引き出そうと努めますが、なかなか出てこないとあまり深く考えられていないのかと思ってしまいます。
技術面についてはいかがですか?
これは良いケースですが、最新の技術について話題を振ると、聞いていないことまで自ら熱を込めて語り出す方がいます(笑)。技術が本当に好きなんだな、と分かりますね。あまり技術への興味関心が高くない人は、そういう話し方はしないものです。それくらいの技術への入れ込み具合が、尖った技術者としては欲しいところです。
最後に、この記事を読んでおられる候補者の方へメッセージをお願いします。
我々は、内視鏡のトップシェアを持つ医療機器メーカーですが、今後はICTを活用した新たな事業をつくっていきたいと思っています。何もないところから切り拓いていくチャレンジ精神がある方がいれば、大企業でやることの苦しさも楽しさも両方味わえるので、ぜひジョインしていただきたいですね。
当社の強みとしては、ユーザー接点が持てることだと思います。技術を軸に経験を積み、今後はユーザーと直接接点を持ちながら貢献していきたい方がいらっしゃいましたら、ぜひご応募ください。
インタビュアー / コンサルタント 武田 直人、コンサルタント 神田 昭子
構成: 神田 昭子
撮影: 櫻井 健司
※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。