面接官の本音 vol.145   ファストドクター株式会社

ファストドクター株式会社

公開日:2021.12.10

時間外救急のプラットフォームとして、救急往診、救急オンライン診断、救急医療相談を提供しているファストドクター株式会社。高齢化や健康意識の変革に伴い医療需要が高まるこれからの日本に向けて、診療業務・診療外業務をRPAによって効率化する事で「持続可能な(無理のない)地域医療」の実現を目指している。同社の代表取締役である水野敬志氏にお話をうかがった。

ファストドクター株式会社 代表取締役 水野敬志氏

Contents

課題の捉え方やキャリア像を確認し、ベストな転職になるかを見極める

Q

面接で必ず聞く質問はありますか?

水野

「自分のキャリアを5年スパンで考えたときに、どんなキャリアを築いていたいですか?」という質問を必ずします。

面接に来られる方は、コンサルティング業界や大手企業の経営企画経験者で、キャリアの分岐点である30代の方が多いです。

今の会社に残った5年後と、当社に入社した5年後、どちらの選択がその方のキャリアにとってベストな選択なのかを考えていただきたいという意図もあります。

もし、5年後のキャリアを明確に描けていなかった場合には、「ロールモデルになる人はいますか?どんな部分をいいと思っていて、今の自分とその人の差は何だと思いますか?」という質問をすることもあります。

その答えによって、その人を突き動かすものがなにか、築きたいキャリアやロールモデルと今の自分とのギャップを埋めるエネルギーをお持ちかを知りたいと考えています。

当社はスタートアップであり、ハードシングス(困難な局面)に直面することが多い。そんなときに、その人を支えるモチベーションの源泉を知りたいです。

Q

たとえば、どんなハードシングスがあるのでしょうか?

水野

弊社は毎年2倍~2.5倍の成長率で成長していますが、コロナの第一波の時期は成長が鈍化しました。

一度目の緊急事態宣言下で外出する人が圧倒的に減り、ケガしたり風邪をひいたりする人が減り、当社の仕事も減りました。

そこで当社が手がけたのがオンライン診療です。当時の菅総理から、初診のオンライン診療解禁の発表があった翌々日にはスタート。

ほかの大手企業は実際にオンライン診療を始めるまで数ヶ月の時間を擁したことと比べるとスピード感が伝わると思います。

このようなスピード感で新たな取り組みの準備や意思決定ができるのはスタートアップの良さですが、その陰ではさまざまな検証やシステムの改善を行っています。

社員にとってはハードシングスだといえるのではないでしょうか。

Q

ハードシングスの先には、どんなやりがいがあるでしょうか?

水野

ファストドクターのサービスが、世の中に受け入れられた瞬間にやりがいを感じます。我々は医療業界のなかでは傍流でしたが、コロナ禍において本流になってきた実感があります。

政党の医療政策検討会に呼ばれることもあり、これからの医療として必要だと認知されてきました。

また、患者さんやその家族、医療従事者から喜ばれることも大きなやりがいです。例えば患者さんは、診療の相談から保険証の提出、診療費の決済まで、スマホひとつでシームレス行うことができます。

また医療従事者も、手作業で行っていたカルテの作成や決済などをする必要がなくなり、双方にとって負担のない状態を作っています。

もちろんそういった効率化によっていただく「便利だ」という声も嬉しいのですが、何よりやりがいにつながるのは患者さんの声です。

「遠くに住む両親に、何かあればすぐにファストドクターに相談するように言ってある」「コロナの自宅療養で一人きりで家にいた時、不安に潰されそうだったけどファストドクターを心の拠り所にして耐えた」など、私たちの存在が患者さんの人生に何らかの安心を届けられていると思うと、何にも代えがたいやりがいに感じられます。

Q

このコンテンツは『面接官の本音』をお伝えするコンテンツなのですが、ご担当者様が面接をしていて感じられる本音があればお聞かせください。

水野

「この方にとって、当社に入ることは幸せか?」を常に考えています。

能力や経験がすばらしい人ほど、スタートアップへの転職は高いジャンプ台から飛び込むようなものです。その方が考えるキャリアにおいて、意味のある転職になるかを大事にしています。

ファストドクター株式会社

今後の戦略が定まり、実りが多い今こそが参画のタイミング

Q

面接でほかに大切にされている事、注目するポイントがあれば教えてください。

水野

「今いる会社の社長に5分プレゼンできるとしたら、どんな経営課題をプレゼンしますか?」という質問もよくしています。課題の大小は問いませんが、その方のレイヤーのプラスαの課題認識があるか、課題をどう捉える方なのかを知りたいと思っています。

経営課題は常にトレードオフの関係です。たとえば、医療の業界では品質と効率がトレードオフ。品質を維持しながら効率をどう高めるのか、当社はそれをITの力で解決しています。

こうした質問をしたときに、タスク消化型で仕事をしている方は課題を抽出できないこともあります。

課題認識をもつには当事者意識が必要です。だからこそ当社では、コアバリューとして「おせっかいな当事者意識」を掲げています。

おせっかいという言葉はネガティブに聞こえがちですが、当社では「自分の職域を飛び越えた視点をもって行動する」という意味合いで使用しています。

おせっかいな当事者意識を重視する理由は、当社のサービスがドクター、ドクターをアテンダントするドライバー、ナース、コールセンター、医療資材のパッキング、診療後のフォローアップチームなど多くのチームで成り立っているから。どのチームが欠けても明日の診療はできません。

おせっかいで世話好きな人が当社にマッチすると考えているため、面接で「自分の職域を飛び越えて提案をした経験はありますか?」とお聞きすることもあります。

また、KPIが強いカルチャーなので、事業計画をつくった経験や新規事業を担当していた方には、「どういうKPIを立てていましたか?」という質問をします。

事業を伸ばすドライバーや、その方や会社が勝つための肝をどう捉えていたかを知りたいからです。

Q

弊社は、志のある企業様に志のある候補者の方をご紹介することが大切だと考えております。貴社にとって『志ある人材』とは、どのような方でしょうか?

水野

自分の能力や価値を社会に還元するために、何をどんな方法でするべきかと考えられるような人を志ある人材だと考えています。

また、経営にチャレンジしたいと考えている人もそうです。経営は高いレイヤーの仕事だと思われがちですが、スタートアップの実際の経営はレベル1~1000までの仕事をすべてやることだったりします。

私自身コンサルを経験してきましたが、そのときはレベル100~500までの仕事をやってきました。レベル1~1000までの仕事をする振れ幅こそが、スタートアップの経営の醍醐味です。

Q

貴社を志望する候補者の方へのメッセージをお願いします。

水野

事業としては、コロナ禍を機に社会的な必要性を認識され、成長のフェーズにあります。

今後、かかりつけ医や自治体との連携など手がけたい戦略は多いですが、現在の社員数は30名ほど。そのため、一人が手がける仕事の幅が広く、キャリアの選択肢が多いです。

IPOへのチャレンジも考えていて実りが多い今こそ、ファストドクターに参画するのに絶好のタイミングだと考えています。

インタビュアー / クライス&カンパニー

構成: 久保 佳那

撮影: 波多野 匠

※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。

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