採用コラム

Column Vol. 19

面接をうまく行う方法とは?

「面接をうまくやるにはどうすればよいか」というご相談をよくいただきます。うまい面接とは何かと考えると、優秀な人材を見落とさずに採用する。あるいはミスジャッジをして採ってはいけない人を採用しない、ということになるでしょう。ところが、実際にはこれが非常に難しい。

面接についてはいろんな人がいろんなことを言っていますが、その方法を一般化することはなかなか困難です。多くの会社の面接評定表を見る機会がありますが、ある会社ではうまくいったものでも別の会社ではまったく使えなかったりします。しかし、それでも面接の腕を磨いていかないと自社の採用レベルは向上しません。

私はリクルート勤務時代に多くの社員の採用に携わり、現在は自社社員の採用面接に加え、当社からお客様企業にご紹介する候補者の面談も担当し、お客様に自信をもって推薦できる人材かどうかのジャッジを日々行っています。それでもなお「すべての会社で通用するベストの面接方法」を提示できるとはとても思えませんが、今回からのシリーズでは私がどのようなことに留意しながら採用面接や弊社にエントリーいただいた候補者との面談を行っているのかをお伝えし、皆さんの面接をうまく行うためのヒントを提供できればと思います。

人材紹介業を営む当社では、我々がお客様企業に成り代わり面談で一次スクリーニングを行っています。つまり、お客様が中小企業であれば社長面接の一歩手前、大企業であれば一次面接を私たちが代わりに行いジャッジしているという側面があり、その責任は非常に重大です。判断を間違えれば即座に信用を失ってしまいますから、私たちは面談のトレーニングを恒常的に実施しています。

面談にはいろいろな側面があるので、トレーニングするにはきちんと分けて考える必要があります。現在のところ当社では次の三つに分類しています。
① 関係構築力
② 理解力
③ ジャッジ力

候補者との良好な関係を構築し、相手のことをより深く理解し、適切にジャッジする。ジャッジはときに複数企業を想定して行うこともあります。一回の面談でこれら三つの行為を行うわけですが、その境界線はきれいに引かれているわけではなく、ごちゃごちゃと入り組んでいます。たとえば関係構築の局面は面談の最初にアイスブレイキングをして緊張感を解きほぐし、場を柔らかくするといったことに加え、相手を理解する場面でもジャッジしている場面でもずっと続いていきます。

このように私たちの面談には複数の側面があり、その境界線もあいまいです。これは本来、一般企業の採用面接でも同様のはずですが、「面接とはジャッジすることだ」という認識しか持っていないため、ジャッジだけしかしようとしない採用担当者が少なくありません。それが優秀な人材を逃したり、ミスジャッジを招いたりする原因になっているのですが、意外とまだ多くの方が気付かれていないようです。

次回は採用面接でジャッジだけ行おうとする誤りについて、詳しくご説明しましょう。

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会社で「フィロソフィー」を重視しその浸透に取り組んでいるというと、「そんなことをして儲かるの?」と聞かれることがあります。しかし、私はフィロソフィーの確立と浸透こそが今後、唯一の利益を上げる道であると確信しています。

ビジネスは弱肉強食の世界ですが、だからといって勝つために相手を騙したり、ワナにはめたりしていたら周囲の信用を失い、長期的に勝ち続けることはできません。勝ち続けるには顧客、取引先、社員を含めどれだけ周囲の支持を得られるかが重要になります。そのためには世の中の原理原則に立脚し、正しくきれいな心で事業に取り組まなければなりません。

需要が伸びていた時代であれば、フィロソフィーを確立しなくても市場全体の成長に乗ることで会社は成長できました。全体のパイの成長がいろいろな瑕疵を覆い隠してくれたのです。ところが供給が需要を上回る時代に入ったいま、成長時代の価値観のままでは会社も個人も立ち行かなくなってしまいます。それぞれの根源的な価値観が問われるようになったわけで、現在は「価値観競争の時代」に突入したといえます。

もちろん現在でも一部には目覚ましく伸びている分野や、アジア諸国など国によっては大いに成長しているところもあります。そうした世界ではまだ成長パラダイムが通用するかもしれません。しかしいつまでも成長が続くかどうかはわかりませんし、成長パラダイムが通用する世界においても価値観による競争力強化は有効です。

したがって、この点からも働く人や経営者はスキルを磨くだけでなく、心を磨く必要性が高まっています。ではどうすれば心を磨けるのか。それは仕事をおいて他にないと私は考えます。真剣に自分の役割と向き合い、成果にコミットメントして一生懸命頑張る。その行為を通じてのみ人格は磨かれるのです。もちろん本を読んだり人の話を聞いたりすることも大切ですが、仕事のなかで実践していかないとせっかく本で気付きを得ても身に付きません。

世の中の会社の大多数は経営理念を持っています。ある程度の規模があれば、ほぼ100%持っているでしょう。ところが、その内容を実践している企業はどれだけあるかといえば、残念ながらきわめて少数だと思います。しかし、前述したようにいまや価値観競争の時代に入り、3.11がその潮流を一気に加速させました。

このパラダイムの変化に気付き、考え方や仕事への取り組み方を変えられるかどうか。そこに低成長時代において、会社や個人が発展できるかどうかのカギがあると思います。

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