先日、ある上場企業の経営幹部から連絡があり、食事をしたときのことです。
「丸山さん、最近うちの担当はどうですか?」
「何かありましたか?」
「いや、このところ入社してくる社員がどうもイマイチな感じで……。
そういうときはたいてい、採用担当者がイマイチなんですよね」
会社に戻って現場に確認してみると、やはり連絡にとても時間がかかったり、さんざん候補者への返事を待たせて不採用にしたり、さまざまな問題がありました。
その後、採用担当者は配置換えになり、この上場企業の採用業務は正常化しました。
このエピソードでも、いかに採用担当が重要なポジションかがわかると思います。
しっかりした採用担当者、すなわち「勝つ人事」がいれば企業はいい採用ができ、その逆もまた然りです。では「勝つ人事」の条件とは何でしょうか。
もっとも大事なことは「情熱がある人」です。
たとえば「採用を通じてもっといい会社にしてやるぞ!」「社長が描いているビジョンを実現できるパワーの持ち主を私が採る!」といった情熱を持っているかどうか。
私も長い間、リクルートで採用担当者をやっていましたが、採用は「会社を支えている感」を強く持てる仕事です。それを感じることができない人はいい採用ができません。
「3年後、5年後の中長期的な成長はいま、自分たちが採用している人材が支えるのだ!」。そのぐらいの情熱を持っていることが必要です。
見方を変えると「よい人材を採用しないと会社はダメになる」と心の底からわかっていない採用担当者はダメです。
そうでなければよい人材を採用するという執念が出てきません。
担当者の採用にかける情熱の有無は、対エージェントの場面で如実に表れます。わざわざ当社に出向いて説明会をしてくれる方もいますし、場合によっては自社の社長をエージェントに連れてきたりもします。
この間も誰でも知っているような会社の社長が当社にやってきて、1時間以上も時間をかけて採用方針と現況についてご説明いただきました。
そのうえで「目標の達成には採用の手をゆるめるわけにはいきません。ぜひよろしくお願いします」と言われ、当社の社員はとても意気に感じていました。
そうなると人間のやることですから、当社の社員は今まで以上に頑張ろうとしますし、私自身も「○○社長のところ、ちゃんとよい候補者出せているか?」とチェックするようになります。
つまり、担当者の採用にかける情熱はエージェントを動かし、よい採用につながっていくわけです。
情熱のある担当者は我々が候補者を口説くために必要な情報を惜しみなく出してくれるので、採用確率も高まります。内定の受諾を迷っている人がいると「口説くために何をしたらよいですか」と自ら言い、事業部長との会食を2日後にセッティングする、といったことまでやってくれます。
ところが採用担当者のなかには「そんなに迷っているならもういいです」と言い、放置してしまう人もいます。
これだとエージェントも頑張る気を失い、よい採用ができなくなってしまいます。
では、次回は【人事と経営者の距離】についてお話させていただきます。
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人事にとって採用のアウトソーサーは業務の負担を減らしてくれる便利な存在ですが、そこには落とし穴が潜んでいることを自覚しなければなりません。
たとえば大量採用モードに入ったとき、恒常的にある程度の人数を採用している会社であれば社内の採用部門を強化することになるでしょうが、一時的に大量採用を行う会社では担当者を新たに採るのは非効率なので、どうしても「アウトソーサーに頼もう」という発想になります。
要は繁閑に応じて派遣社員を依頼するのと同じ考え方です。
この連載で何度も言っているように、採用は会社の将来を決する重要な役割です。
ところが外部者であるアウトソーサーは会社に対するロイヤリティも愛情もありませんから、その人たちに採用業務を丸投げすると自ずと限界が生じるのです。
候補者の応募を受け付けて面接をセッティングするという定まったプロセスを機械的に進めてもらうだけならよいのですが、「これは!」と思った候補者を口説いたり、エージェントに働きかけてよい人材を集めたりするような役割を担うのは難しいと思います。
実際、エージェントである私たちの経験からすると、アウトソーサーは機械的に業務を回しているだけのところが多いというのが偽らざる本音で、アウトソーサーを入れてから採用の質が落ちた会社は何社も見てきました。
もう一つ、アウトソーサーに依頼するデメリットがあります。
それは「面接外面接」ができないことです。
面接では評価が高くても、面接の日程調整のレスポンスが遅かったり、メールの文面が非常識だったりと、面接外のやり取りから候補者の仕事ぶりが見えてくる場面はたくさんあります。
こうした小さいやり取りも仕事のようなものですから、候補者をジャッジするうえで大切な情報となります。
この「面接外面接」が悪くて落とされる人は少なくありませんが、アウトソーサーに依頼してしまうとこの大切な情報が入手できなくなります。
以上の理由から、採用業務をアウトソーサーに丸投げするのは避けるべきだと私は考えています。
依頼するのであれば採用プロセスを確立して機械的に回せる部分をお願いすること。
そしてアウトソーサーがしっかり応募者をジャッジしているか、定期的にチェックすることが欠かせません。
では、次回は勝つ人事の条件についてお話させていただきます。
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