採用コラム

Column Vol. 56

みんなで「寄ってたかって」新人に成果をあげさせるべき理由

どんな会社にも有形・無形のローカルルールがたくさんありますから、新人が入社したらどんな優秀な人でもフィッティングの支援をしてあげる必要があります。

とりわけお勧めしたいのは周囲が寄ってたかって応援して、どんな小さなことでもよいので成果を出す経験をできるだけ早くさせてあげることです。新人がなかなか成果を出せないとどんどんマイナスへ、しかも他責の方向へ考えが向かってしまいがちだからです。

「商品がいま一つだから売れない……」
「仕組みの完成度が低く効率が悪いから成果もあがらない……」

なかなか成果を出せないとそんな風に考え始め、ますます成果から遠ざかる負のスパイラルにはまってしまうのです。

転職をした人は皆さん腹を括って決断したとはいえ、新しい環境に不安も感じており、「この会社を選んで本当に良かったのか?」と自分の決断の正しさを頭のなかで検証しています。

そのため、すぐに成果が出れば「転職してよかった」と自分の決断を正しかったと感じ、自ずと転職先での出来事を肯定的に受け入れるようになります。

逆に、成果が出ないと「転職は失敗だったのではないか?」「他社に転職したほうがよかったのでは?」と迷いが生じてしまうわけです。

「入社してからも迷うような人はいらない」と思われるかもしれませんが、人間の心理とはそんなものです。

だから、まずはどんな小さなことでもよいので成功体験を積ませてあげる。

そのために周囲のみんなで新人を寄ってたかって応援するという風土を確立することです。

当社のケースを見ていても、経験者採用したプロフィットセンターの新人は初受注するまで非常に苦労しますが、一度受注すればその後は順調に立ち上がっていきます。

つまり、できるだけ早く初受注させることが新人に活躍してもらう大事なポイントなので、受注に結び付きそうな案件を先輩社員が声をかけて一緒にやったり、よい情報があればすぐ教えたりしながら、みんなで寄ってたかって初受注を支援しています。

せっかく高い費用と多くの時間を使って採用をしているのですから、新人には早く活躍してもらわなければもったいないでしょう。

早く活躍してもらうには「経験者だから」といって放置するのではなく、会社側もフィッティングの努力を惜しまないことです。

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社内コミュニケーションの活性化につながった当社の取組みとして、 前回はフィロソフィの共有活動についてお話しましたが、 今回はもう一つ別の取組みについてお伝えしたいと思います。

それは毎月1回開催している「木鶏会」という活動です。 これは『致知』という人間学の雑誌を読み、 感想文を書いて社員同士で発表し合う会で、 感想文の分量は一言でもよいしたくさん書いても構いません。

『致知』にはたとえば、まったくの素人から競技をはじめ それぞれ多くの世界記録を持つようになった 100歳の現役スイマー・長岡三重子さんと 91歳の現役スプリンター・守田満さんとの対談など、 人間のあり方に関する非常に濃い記事が毎号掲載されています。

要は非常な努力をして卓越した成果をあげたり、 理想を実現するために多大な困難と格闘したりしている人たちの 生々しい話を読み、 自分はどう感じたかを感想文にしてもらうのです。

すると、だいたいの人は自分の個人的なことと 重ね合わせた内容を書いてきます。

「実は、父は私が大学1年生のときに大病になって…。 だから、私もこんな思いで仕事に取り組んでいます」

そんな感想文が発表されて、 すすり泣く声が聞こえてくるようなときもあります。

あるいは仕事に関する不安を率直に書いたり、 会社に対する思いを書いてくる人もいます。

このように感想文は何を書いてもよいのですが、 話を聞くときは「美点凝視」がルールです。

つまり、他人の揚げ足をとったり批判的にコメントしたりするのではなく、 その人の良いところを見付けてフィードバックしていくのです。

美点凝視がルールなので、参加者はみんな安心して気持ちよく話ができ、 相互理解は一気に深まります。

木鶏会を1回開催すると、 おそらく部下と10回飲みにいくより効果があると思います。

新入社員のフィッティグという観点から見ると、 木鶏会は職場にどんな人がいるのを理解し、 同時に自分のことを前向きに理解してもらえる「安心の場」となり、 新人の早期デビューにつながります。

ただし、木鶏会のような取り組みが肌に合わないという人がいるのも確かです。

このミスマッチを防ぐには入社前、内定を出すときに 「当社ではこんなことをやっている」ときちんと説明しておくことです。

「木鶏会のような取り組みが嫌なら、当社に入社してはいけませんよ」と。 それは社風に合うかどうかのスクリーニングにもなるわけです。

次回は新人への対応についてお話します。

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