近年のICT(Information and Communication Technology)の発達は目覚ましく、
いまやインターネットは社会のインフラとしてなくてはならない存在になっています。
さらにはインターネットそのものだけでなく、その最前線でビジネスをしている人たちは
従来のビジネスパーソンの持つ常識とは異なる考え方やアプローチをするため、
話を聞いていると非常に勉強になることが多いです。
たとえば私には商品やサービスは完成したものでなければ
世の中に出してはいけないという感覚があります。
いい加減なことをして信頼を失ってはいけない。
自社ホームページのコンテンツでも間違いがあってはならないと考えますが、
ネットの世界では完成度が7割くらいでサービスをリリースし、
バグやユーザーからのクレームがあったらその都度修正するといったアプローチをします。
ユーザーに問題を指摘してもらったほうがずっと早いというわけです。
すべての仕事を7割の完成度でやってしまってはまずいですが、
いろんなことを慎重にやり過ぎることによって鈍重になっている側面もあるのは確かです。
仕事によってはまずはやって様子を見て、うまくいけばそれでよし。
だめならすぐ改善する、あるいはやめてしまえばいいというアプローチを
したほうがよいものもあります。
これはほんの一例ですが、世の中の変化を引き起こしている分野の最前線では
ビジネスのスタイルや仕事のルールも大きく変わっていて、
そこに私のような「おじさん世代」はあまり気付いていない可能性があります。
下手をすれば、時代の潮流に取り残されてしまう危険性があるわけです。
8年前、私が43歳のときに中国の一流大学の一つ、清華大学の学生を面接したときのことです。
紹介してくれた知人が「彼は車でいえばフェラーリです」というだけあって、
非常に鋭い受け答えをする学生でした。そのとき、彼からこんな質問をされました。
「失礼ですが丸山社長はもう43歳です。事業は今後、どうされるんですか?」
中国では若い人たちがどんどんインターネットの分野で起業しており、
彼が知っている経営者のなかでは43歳でもだいぶ年寄りだったのです。
そのときは「なんと生意気な!」と思いましたが、最近のICTの発達や中国経済の急成長を
目の当たりにして、彼の質問の意図が理解できるようになりました。
そうした世界で活躍している若い人たちと、インターネット以前からの「おじさん世代」とでは
パラダイムが変わり、ビジネスのルールや仕事のやり方が大きく違ってきたのです。
そうした変化に振り落とされないためには、自分たちがついていけるように努力するだけでなく、
新しいパラダイムの側にいる人材を採用していくことも大切になるでしょう。
つまり、人材採用も従来から自社がつくり出している本質的な価値を強化しながら、
同時に新しい時代の方法論に適応していく視点を持つことがますます重要になるのです。
自社にとっての「よい人」を検討するときは、この視点を忘れてはなりません。
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よい人をいま採用するのは難しいが、いずれ景気が悪くなれば採れるようになるだろう。
そんな見通しを持っている方もいるかもしれません。
しかし中長期的に見ると景気に関係なく、優秀な人の採用はますます難しくなっていくでしょう。
その根拠は人工知能(AI)の急速な発達です。
Googleの自動運転車やIBMのワトソンの登場は社会に大きな衝撃を与えました。
まだ現実味のない話とお考えかもしれませんが、人工知能はすでにさまざまな産業で
導入が進められています。
人材紹介業においても企業と候補者のマッチングに人工知能が使われています。
現在は人手不足が経済の足を引っ張る懸念材料になっていますが、
もしかすると人間がコンピューターに仕事を奪われるスピードのほうが早いかもしれません。
人工知能がどんどん発達しさまざまな場面に導入されるようになると、
コンピューターがやってくれる仕事はだんだん淘汰されるようになり、
人間に残されるのはコンピューターにはできない右脳的な仕事や、
コンピューターと人を使ってより付加価値の高いものやサービスをつくる仕事になります。
結果、そうした優秀な人材の需要はいま以上に高くなっていくのです。
一方、人工知能の発達はビジネスにも影響を与えます。
人工知能がデータをどんどん蓄積してマッチングの精度を高めていけば、
ベテラン社員のマッチング能力を売りにしていた人材紹介会社は淘汰されるかもしれません。
そうなると生き残るためには別の価値を磨いていく必要性が強まります。
以前、このコラムで自社における「よい人材」の定義をせよという話をしましたが、
こう見ていくと人工知能の発達という視点からも自社に必要な人材を
再定義しておく必要があると思います。
つまり、人工知能が自社のビジネスに与える影響を予測し、人工知能に代替されずに
生み出せる価値は何かを考え、その実現に必要な人を定義するのです。
そして新たに定義した「必要な人」はどんな能力の持ち主で、
その能力はどうすれば測定できるのか。
また、その能力の持ち主はどんなところにいて、
どうすればアプローチできるのかといったことも考えなければなりません。
大企業であればそういう人材をたくさんつくれるよう
大学に寄付講座をつくったりするのもよいでしょう。
これまでの延長線上で採用数を追いかけるのではなく、本当に従来の採用のあり方でよいのか。
自社の将来を担う人材はどんな能力の持ち主かを見直し、いまから手を打っておかないと
企業は今後、テクノロジーの発達につれてジリ貧に陥る危険性があります。
それでは次回は時代の変化に適応する人材採用についてお話しします。
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