入社した人が戦力となって活躍し、売上と利益に貢献して採用は成功したといえますが、
この点でうまくいっていない会社が少なくありません。
その原因は前回までに述べたように、本来なら落とすべき人なのに目が曇って
入社させてしまったか、教育の仕方を間違っている可能性が高い。
今回は自覚のないまま目が曇る現象について取り上げます。
よい人材がなかなか採用できない時期は知らず知らずのうちにジャッジが
甘くなっていきます。要求する水準に届かない人とたくさん会っているうちに、
自分の見る目の水準までだんだん下がっていくからです。
とくに中小企業の場合、応募してくるのが「うちの会社を希望するのは
こういう人たちしかいないのか……」と感じる、
経営者が傷つくようなレベルの人たちが大多数になったりします。
それでも「中には見所のある人がいるのではないか」とよい点を探し、
ちょっと期待させるようなコメントが職務経歴書に書いてあると
「ちょっと会ってみようかな」となる。
しかし、それが間違いの始まりです。
要するに、本来望んでいるよりも低い水準の人材をたくさん見ているうちに
見る目が曇り、少しよい人がくると本来求めている水準に達していないにも関わらず
「悪くない」と感じ、思わず飛びついてしまうわけです。
意図して採用の目を曇らせるような営業をする人材紹介会社もあります。
たとえば、まず「うちはAクラスの大学からしか採用しない」と考えている会社に
Cクラスの大学の学生をたくさん紹介し、
「うちにはこのレベルの大学からしか応募してくれないのかな」と思わせたところで
Bクラスの大学の学生を紹介するのです。
するとCクラスのレベルに目が慣れた採用担当者は「いいかもしれない」と感じ、
思わず採用してしまうというわけです。
なかなか採用できないので希望水準を下げた人材を入社させ、
社内で鍛えて育成しようと考える経営者もいると思いますが、
やめたほうがよいでしょう。
そうやって入社させた人はまず、業務についてこられないからです。
結局、短期間で退職することになり、自社にとっては採用の失敗、
本人にとっても可哀そうな結果になるのが目に見えているからです。
「この水準以上の人しか採らない!」というラインを下げてはいけない。
これは私自身の反省でもあります。
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[post_date] => 2017-06-01 06:25:00
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[post_content] => 「採用の失敗」を防ぐには検証作業が不可欠であり、そのポイントは面接における
ジャッジメントと自社の教育体制の二点であると前回述べました。
今回は教育体制についてお話します。
教育体制を検証するときは、入社してきた社員が成果を出し、自立してやっていくための
支援をできているかが重要なチェックポイントになります。
当社を例にお話をすると、最近になって新人支援に関する考え方を従来と変えました。
実力主義を方針としている当社では、以前は「放任見守り型」の新人育成をしていました。社員は自分で自分をモチベートして成果を出して這い上がってこい。そのために必要なことはいくらでも教えるし、手伝いもする。ただし、こちらから教えることはせず、本人から聞かれてはじめて動く――。そんなやり方をしていました。
しかし最近の若手社員を見ていると、自分の力だけで何とかしようとする気持ちが強く、
あまり上司や先輩に質問をせず自爆してしまうパターンが多いのです。
採用の検証をした際に、「このやり方はもう古くなっているのではないか」と反省しました。
一方、新人がうまく立ち上がっている他社のやり方を眺めてみると、
会社がかなりお膳立てをしてあげていました。
たとえば成果を出しやすい部署に配属したり、あまりノウハウの必要ない顧客を
担当させたりして成功体験を積ませ、早く立ち上げさせるのです。
そうした取り組みをしている会社は退職率も低かったりします。
それをそのまま真似したわけではありませんが、従来は最初から
「獣道を自分で切り開いてきなさい」という方針でやっていたものを、
現在はある程度のところまでレールを敷いてあげて、半年後に獣道へ突入するような
順番に新人育成フローを変更しました。
多くの会社では人を採用した後、OJTという名の放任になっているケースが多いと思います。
自分たちはそうやって育ってきたという気持ちもあってそのやり方をしているのかもしれませんが、
大切なことはそのやり方が機能しているかどうかです。
いま現実に自力だけで立ち上がれる人がどれだけいるか、きちんと考えてみる必要があるでしょう。
もちろん採用した人がみんな自力で立ち上がってくれているのならベストですが、
そういう人が少なければ現実を直視し、「このやり方はもう古い」と見切りをつけ、
見直すことも必要です。
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