採用コラム

Column Vol. 23

求める能力があいまいな採用は失敗する

前々回で応募いただいた方を理解するには「価値観」と「能力」という二つの切り口が重要になると指摘しました。今回は採用面接で応募者の能力をどうやって見極めるかについてお話します。

応募者に必要とする能力は当然、業種や職種によってまったく異なります。同じ会社のなかでも確実にミスなくやり続け、かつ業務改善に取り組んで地道に効率を上げていくような仕事から、ゴールだけが明確であとは臨機応変に対応して成果を出していくような仕事が同居しているわけです。したがって、まず企業側がその採用においてどんな能力を求めているかを明確にしなければなりません。

一口に「営業力」と言っても、新規開拓に強い人もいればアカウント営業に強い人もいます。コンサルティングセールスもあればルートセールスもある。そのなかでどの能力が欲しいのか。応募者の能力の話になると「あれも欲しい、これも欲しい」となりがちですが、自分たちが何を求めているか明確にしないと失敗します。新規開拓力を求めているのに、単に営業成績トップだからといってアカウント営業に長けた人を採用するようなやり方をすると、すぐに辞められてしまうでしょう。

求めている能力次第で面接で聞く内容も当然変わってきます。もし新規開拓の能力を求めている企業の面接に、年間1億円売り上げているという営業マンが応募者として来たとしましょう。
「新規顧客と既存顧客の割合はどれくらいですか?」
「新規8割、既存2割です」
「それはすごい。8割って社数ですか、それとも金額ですか」
「社数です。全部で15社です」
「なるほど、どうやって開拓したんですか」

求める能力を明確にすると、こんな風に深掘りしていくポイントも自ずと明確になります。

ちなみに当社のコンサルタント採用においては試行錯誤の結果、法人営業経験を必須の条件にしています。コンサルタントはエントリーいただいた候補者との面談スキルが重要ですが、社内にそれを教えるプログラムが豊富にあり、その道のプロもいっぱいいるので、未経験でもポテンシャルがあれば十分できるようになります。

しかし法人営業経験がなく、新規開拓や数字のセンスが身に付いていない人は、当社ではなかなか難しい。これは能力というより価値観に近いかもしれませんが、目標達成意欲や数字に対する執着心は法人営業で揉まれた経験がないとなかなか身に付かないようです。

ただし、「必須の能力や条件を明確にし、当てはまる人しか絶対に採用するな」と言っているわけではありません。実際の面接ではあらかじめ定めた条件から外れてはいるが「この人は絶対いける!」という人と出会うことがあります。ですから当社でも法人営業経験を必須としながらも、「欲しいと思った人を採れ」と私は採用担当の社員に言っています。求める基本的な条件を明確にしつつ、例外的な応募者へ柔軟に対応することも採用の重要な心得です。

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面接において重要なのは応募者の価値観を把握することだと前回のメルマガでお話しました。では、どうすれば人の価値観という抽象的なことを把握できるのかが今回のテーマです。

「あなたはどんな価値観を持っていますか」 「私は社会に役立つことを大切にしています」

こんなやり取りをして「ああ、それは素晴らしいですね」で話を終えていたら、その人が本当に大切にしている価値観などわかりません。大切なのは「事実ベースで話を聞く」ことです。私が自社の採用面接やエントリーいただいた候補者の方との面談で常に心がけているのも、この「事実ベースで話を聞く」です。これは価値観の話に限らず、経歴や能力についても同様です。

たとえば「社会に貢献する」を大切な価値観としているという方がいたら「その価値観に基づいて行動した事例を教えて下さい」と質問する。そして、その方が語った事例が本人の言う価値観を本当に反映しているかどうかをジャッジしていくのです。

能力についても、「自分はこういう点に優れている」と言ったら、それを裏付ける事実があるかどうかを確かめていく必要があります。最近は要領のいい人が増え、面接でご自身のアピールポイントを上手にプレゼンされる方が多くなりましたが、相手の主張をそのまま聞き流すのではなく、主張を裏付ける事実をつかみにいくことが大切です。そうでなければ適切なジャッジはできません。

言葉は悪いかもしれませんが、とくに中途採用の面接では「裏取り」が重要になります。そうすると突っ込みすぎて、たまに嫌な空気が流れることがありますが、それでもやらなければいけない。もっと言えば、本シリーズの第1回目で触れたように、突っ込んだ話をするためにも採用面接では関係構築が重要だ、という話にもつながります。

価値観の把握に話題を戻すと、その人の価値観が現れやすいポイントに注目することも大切です。そのポイントとは人生の節目です。過去の就職や転職など大きな決断の場面でどのようなストーリーがあり、何を考えどんな行動をして最終的にその選択をしたのか。そうした話を詳しく聞いていくと、その方の人となりがよく出てきます。

また、複数の転職を行っている人であれば、それぞれの節目について詳しく聞き、それらを比較することによって見えてくることもあるでしょう。一見、違う業界を転々としているように見える人でも、明確な価値観に基づいて判断を行っている人もいれば、単にその都度の思いつきで行動している人もいます。

「この質問をすれば一発でその方の価値観がわかる」といった便利な質問はありません。あくまで事実ベースで話を聞き、とりわけ人生の節目に着目することが価値観を理解するカギとなります。

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