採用に負ける担当者は「遅い人」。前回の連載ではそう指摘しました。
一つひとつの連絡が遅く、選考プロセスに時間がかかり、内定を出すのが遅いとなれば、よい人材ほど他社に奪われてしまいます。
こう言うと採用担当者のなかには反発される方がいるかもしれません。
「いくら自分がお願いしても、部門からの返事が遅いのでスピードアップは無理」
「人事が頑張ってもラインは現業優先なので、どうにもならない」
確かに部門の力が強く、人事があまり強く言えない会社は少なくありません。
そうでなくても放っておけば部門の社員にとって最優先は自分たちの業務で、採用業務は二の次になってしまいがちです。
しかし、そうした状況を「仕方がない」と放置していれば採用選考のスピードアップができず、他社に負け続ける結果になってしまうでしょう。
部門は採用業務を後回しにしがち、という問題はどうすれば解決できるのか。
結論から述べると「採用業務はすべてに優先する」というスタンスを組織に根付かせることです。
これができている会社は人事と部門間のパワーバランスなど関係なしにスピードが速く、採用がうまくいっています。
採用の優先順位を高くしてうまくいった例としてはかつてのリクルート、最近ではディー・エヌ・エーが挙げられます。
しかし人事担当者がいくら採用業務の重要性を力説しても、部門の人からすると
「自分で自分の業務を優先しろと言っている」と受け取られかねません。
「採用業務はすべてに優先する」という方針を根付かせるには、やはり社長が言わないとダメです。
人事が部門にお願いして対応を早めてもらうことも大切ですが、根本的には「採用を優先しなければ」と本人に思わせたほうが手っ取り早い。
それには組織のトップである社長に方針を明確に打ち出してもらう必要があります。
そして社長に「採用業務はすべてに優先する」と言わせるのは人事の仕事です。
採用を含め人事は社長の重要な仕事の一つで、とりわけ人事担当役員や人事部長は社長とコミュニケーションをとっている時間が長いはずです。
その時間のなかで、社長に「採用業務はすべてに優先する」と言うように仕向けていくのです。
では、次回は採用に関して起こるよくあるトラブルについてお話させていただきます。
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採用担当者は会社の未来を左右する、非常に重要なポジションである。前回の連載でそう言いました。
力のある優秀な採用担当者がいる会社にはよい人材が入社し、力の劣る採用担当者がいる会社はイマイチな人ばかりになってしまいます。
では、どうすれば力のある優秀な採用担当者になれるでしょうか。
順序としては、まず自分がイマイチな採用をしていないかをチェックし、問題があれば修正する。そうやってネガティブリストを潰した上で、力を身に付ける努力をしていくことです。
今回はイマイチな採用からの脱却編です。
当社のキャリアコンサルタントに「採用に負ける採用担当者はどんな人か?」と尋ねたところ、もっとも答えが多かったのが「遅い人」でした。
最近は人材の取り合い競争になっているため、どれだけ早くジャッジし内定を出すかが非常に大切になっています。
先に内定が決まったほうに心を決めてしまう候補者が多いので、他社に先んじて内定を出し、早く候補者の合意を取り付けることが競争を決する大きな要素だからです。
遅い採用担当者は他社に負け続けるしかありません。
「遅い」とはどういうことか具体的にいうと、まず書類選考があります。
優秀な人事は自分自身でジャッジをしますが、オペレーティブな人事は部門に書類を回します。そのため、ファーストステップから時間がかかってしまいます。
特殊な職種などで、部門の人に書類を見てもらわないと判断がつかないこともあるでしょう。
しかしある程度経験を積んでいけば、そのうちにどういう人が通ってどういう人が落ちるか、だんだんジャッジできるようになるはずです。
実際、私自身もリクルートで中途採用を担当していたときは、エンジニア経験がないのにスーパーコンピューターを扱うエンジニアの書類選考をジャッジしていました。
もちろん最初からはそんなことはできません。
しかし部門の人と一緒に書類のジャッジをさせてもらっているうちにだいたい予測がつくようになり、急いでいる人に関しては自分の責任でジャッジし、その場で書類選考を通すようになったのです。
なかには必ず部門に書類を回さなければいけない会社もあるでしょう。そういう会社でも優秀な人事はできるだけ時間を短縮する仕組みをつくっています。
しかし、遅い採用担当者は部門にお願いをするだけで、時間を短縮する努力をしません。
ひどい人になると1週間たっても「まだ部門から返事がないんです」と言うだけで、危機感もありません。
すでに述べたように、最近はスピード勝負になっているので、候補者から書類をもらったら翌日には返事するくらいのスピードが必要です。
そうでなければ他社に負けてしまいますし、採用の利害を共有している私たちエージェントもだんだん気持ちが冷めてしまいます。
そのような状況を打開する方法を次回ご説明させていただきます。
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