会社では長期間にわたって業績に貢献し、惜しまれながら退職していく社員もいれば、
残念ながら十分な成果を出せず、あるいは周囲の人たちと合わず1年ももたずに
退職していく社員もいます。
いずれのパターンにせよ、会社として重要なのは
辞めていく社員と良好な関係を築いておくことです。
勤務している間にこじれることがあったとしても、
基本的に最後はちゃんと円満退職になるよう心がけるべきです。
理由は、辞めた社員やその周りの人たちが将来のお客様になるかもしれないこと。
そして何より退職者に対するスタンスは現在働いている社員へのメッセージになり、
社員の定着にも影響を及ぼすからです。
たとえば私の知っているワンマン社長が君臨しているある中小企業では、
退職する社員の送別会を禁止しています。
「辞めていく人間に時間と金を使うのはムダだ」というのがその理由だそうですが、
これは最悪のパターンです。
社員は「どんなに頑張っても辞めるときは送別会すらしてもらえない……」
「一緒に苦楽を共にして働いても、辞めた途端に仲間として扱ってもらえないのだな……」
と受け止めるからです。
要するに、このケースでは送別会禁止令が「社員と会社は労働を提供し、
対価として給料を支払う“だけ”の関係である」というメッセージになっているのです。
実際、社員の定着率は非常に悪い。
ちなみに当社のケースをお話すると、私はやれともやるなとも言っていませんが、
長年に渡って会社に貢献し、みんなともよい関係を築いて辞めていく人は
かなり盛大な送別会になります。
慰労と同時に、OBには外部の応援団になってもらうという意味もそこにはあると思います。
一方、あまり成果が出せずに短期間で辞めていく人は、
送別会をやるときもあればやらないときもあるようです。
仕事がうまくいかなかった人は周囲の社員たちともうまくいっておらず、
送別会をやろうという声がどこからも上がらないのかもしれません。
中長期的に見れば、周囲とうまくいっているのに仕事がうまくいかない人はまずいません。
ただし、前述の理由で結果的にうまくいかなかった人とも
最後は円満退職してもらうように心がけています。
辞めていく人に対する会社の姿勢を、社員は会社からのメッセージとしてよく見ています。
退職を伝えられた途端に功労者をないがしろに扱えば、
誰も頑張ろうとは思わないでしょう。
せっかく採用した社員の定着率を向上するには、
逆説的ですが辞めていく社員と笑顔で別れることが重要なのです。
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採用した社員をいかに定着させるかは、企業にとって非常に重要な問題です。
そのために経営者がなすべきことは何か。
結論から述べると、答えは「ベテラン社員を大切にする」です。
長く自社に勤めている社員は社長が思っている以上に存在感があり、
その動向を若い社員が注目しています。
自分が10年後、20年後、その社員と同じくらいの年齢になったときに
どうなっているかというロールモデルとしての見方と、
そのときに会社からどんな処遇を受けているのかという、
会社から自分が将来どう扱われるかのケーススタディとしての見方をしているためです。
長く勤めている社員が蓄積したキャリアに対する敬意を持って扱われているかどうか。
一生懸命仕事をして会社に貢献した社員がリタイアするとき、
希望次第で嘱託として働き続けられたり独立のサポートを受けられる道があったりと、
きちんと功に報いられているかどうか。
つまり、会社が功労者に対して礼を尽くし、
卒業するときは手厚く支援しているかを社員はよく見ています。
もし長年に渡り貢献してきた功労者が報われず、
会社を卒業した途端、路頭に迷うような会社で頑張ろうとは誰も思わないでしょう。
それでは社員の定着も望めません。
逆に頑張って貢献し続ければ将来も報われるとわかれば、
社員は安心して仕事に打ち込むことができ、長く働きたいと考えます。
私は40歳になったとき、メンターから
「功労者が年を取ったとき、どうするかちゃんと考えておきなさい」と
アドバイスされたことが忘れられなくて、
いまでも心に刻み付け、そのための準備もしています。
ただし、長く勤めている社員だからといって甘やかすような処遇をすれば、
若い社員は「既得権益だ!」と受け止めます。
後から入った人が損をすることに若い人たちは非常に敏感で、
マイナスの影響を与えることにも留意すべきでしょう。
会社が功労者にどんな処遇をするかは、
現役社員に対する強力なメッセージになります。
功あるベテラン社員に敬意をもって接し、その行く末を考えてあげることは
「わが社は社員を大切にしている」という一番のメッセージになるのです。
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