本来、入社させるべきではない人を入社させてしまい、結果として短期間で退職していくという
採用の失敗を防ぐには、一つ有効な方法があります。
それは社長が内定を出す前の候補者に対し、「この仕事」について直接語りかけることです。
語る、といってもそんなに時間はいりません。5分もあれば十分です。
たとえば、私はこんな内容を語りかけています。
「キャリアコンサルタントの仕事は一人ひとりの候補者の人生を左右するもので
非常に奥深く、勉強することは山ほどあります。
かつ、人と企業とのご縁をつなぐことに真剣に取り組んでいると、そこで結びついた人たちと
自分とのご縁もずっと長期間に渡って続いていきます。
だからキャリアコンサルタントは最高の仕事だと私は思っています」
「当社に一生勤めるつもりはなくてよいしいずれ転職しても構いませんが、
キャリアコンサルタントが一生の仕事とするに足る職業であるのは私が保証します。
せっかく最高の仕事に出会った以上、キャリアコンサルタントを自分の一生の仕事にすべく
取り組んで欲しい。腹をくくって入社して下さい」
要するに、自社の仕事の意義や素晴らしさ、自分の思いと、一生の仕事にするという
覚悟を持って入社するよう語りかけるのです。
もちろん私としても、入社した社員とは一生お付き合いするつもりで関わっていきます。
非常に独りよがりな言い方だと感じる人もいるかもしれませんが、
私は本当にキャリアコンサルタントは最高の仕事だと思っていますし、
思っていることはきちんと伝えたほうがよい。
真剣にビジネスに取り組んでいる経営者であれば、分野は違っても
自身の仕事について同じような思いを持っているはずです。
それはきちんと伝えましょう。
こうした話をすると、「そこまで私は大げさに考えられません」と
辞退する人も出てくることがありますが、それは覚悟の甘い候補者です。
辞退してもらって構いませんし、採用の失敗の防止になります。
実はしばらく私は内定者に対しこの語りかけをやっていませんでしたが、
当社で採用の失敗が発生し、採用プロセスを検証した結果、そのことに気付きました。
いま当社で長く活躍している社員たちは私が語りかけ、そのように関わってきた人たちです。
やはり社長は「この仕事」に対する自分の思いを伝えなければなりません。
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[post_date] => 2017-06-30 06:17:00
[post_date_gmt] => 2017-06-29 21:17:00
[post_content] => 入社した人が戦力となって活躍し、売上と利益に貢献して採用は成功したといえますが、
この点でうまくいっていない会社が少なくありません。
その原因は前回までに述べたように、本来なら落とすべき人なのに目が曇って
入社させてしまったか、教育の仕方を間違っている可能性が高い。
今回は自覚のないまま目が曇る現象について取り上げます。
よい人材がなかなか採用できない時期は知らず知らずのうちにジャッジが
甘くなっていきます。要求する水準に届かない人とたくさん会っているうちに、
自分の見る目の水準までだんだん下がっていくからです。
とくに中小企業の場合、応募してくるのが「うちの会社を希望するのは
こういう人たちしかいないのか……」と感じる、
経営者が傷つくようなレベルの人たちが大多数になったりします。
それでも「中には見所のある人がいるのではないか」とよい点を探し、
ちょっと期待させるようなコメントが職務経歴書に書いてあると
「ちょっと会ってみようかな」となる。
しかし、それが間違いの始まりです。
要するに、本来望んでいるよりも低い水準の人材をたくさん見ているうちに
見る目が曇り、少しよい人がくると本来求めている水準に達していないにも関わらず
「悪くない」と感じ、思わず飛びついてしまうわけです。
意図して採用の目を曇らせるような営業をする人材紹介会社もあります。
たとえば、まず「うちはAクラスの大学からしか採用しない」と考えている会社に
Cクラスの大学の学生をたくさん紹介し、
「うちにはこのレベルの大学からしか応募してくれないのかな」と思わせたところで
Bクラスの大学の学生を紹介するのです。
するとCクラスのレベルに目が慣れた採用担当者は「いいかもしれない」と感じ、
思わず採用してしまうというわけです。
なかなか採用できないので希望水準を下げた人材を入社させ、
社内で鍛えて育成しようと考える経営者もいると思いますが、
やめたほうがよいでしょう。
そうやって入社させた人はまず、業務についてこられないからです。
結局、短期間で退職することになり、自社にとっては採用の失敗、
本人にとっても可哀そうな結果になるのが目に見えているからです。
「この水準以上の人しか採らない!」というラインを下げてはいけない。
これは私自身の反省でもあります。
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