今回はHRテック業界についてレポートいたします。今、人事領域における「データ」と「テクノロジー」の活用は、“HR テック”というキーワードとして注目されています。HRテックでは、採用やタレント・マネジメント、リーダー育成、評価、勤怠など幅広い領域で、ビッグデータ解析や人工知能(AI)、クラウドなど人事業務に最先端のテクノロジーを活用します。
世界を見てみると、巨額のリスクマネーがHRテック分野に流入しています。例えば、米Zenefits社は1社で総額約600億円、企業口コミサイトを運営する 米Glassdoor社も総額約212億円を調達しています。
2012年から2016年の4年間でも、グローバルでのIPOは10社、M&Aに至ったのは241社にも及びます。国内のHRテックの市場は黎明期から成長期に入ったとされ、市場規模は2017年度で184億、2021年度には613億円になると予測されています。
日本国内でも「働き方改革」や「生産性革命」などを掲げ、労働生産性の向上と、多様で柔軟な働き方を選択可能とする社会を目指しています。終身雇用や年功序列に代表される日本的な雇用システムや、これまでの企業文化や風土に捉われず、柔軟な働き方を推進する企業が増えてきたこともHRテック市場が盛り上がっている理由として考えられます。
上記に伴い、HRテック業界はもちろんのこと、人事コンサルティング会社でもテクノロジーに強みを持つ人材へのニーズが強まってきています。HRとデータ、テクノロジーは切り離せなくなるため、HRテックへのアンテナをより一層強く持つことが求められます。
今後、HRテックの進化は、企業の組織や採用におけるあり方を大きく変えていくと考えられます。また、HRテックの広がりは、人事部門だけのツールではなく従業員一人ひとりが活用するツールとなり、リアルタイムに反映されたデータを洞察し、AIによる意思決定のサポートを通じて、新たな知見を活かした取り組みが注目されていくでしょう。
工藤 直亮
【 CxO専門チーム 所属 】 プロフィールをみる
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