IT業界の人材不足はリーマンショック以前の水準まで戻りつつあるため、数的不足感は昨年よりも更に高まっています。特に金融・公共を中心に複数の超大型案件が重なることによる、いわゆる「2015年問題」などを背景に、事業会社のIT部門に比べ、ITコンサルティング企業やSIer・ソフトベンダーで不足感が高い状況です。
企業のIT投資意欲も依然強く、積極的に人材採用を行う企業が昨年より増加しています。また、企業の戦略から、IT投資の目的に変化が見られます。これまでの「業務の合理化・省力化」「システムの標準化・最適化・基盤統一などの環境整備」がメインながらも、「新事業・サービス創出」「事業拡大の為の販路・顧客開拓支援」などが大きく拡大しています。
クラウド、マルチデバイス、ビックデータをはじめ、IoT/M2M、人工知能、FinTechなど、技術とビジネスを結び付け新たな収益を生み出す「攻めのIT」を担える人材のニーズが高まっているのも特徴です。これらを背景に、ITコンサルティング企業やSIerの戦略にも動きが出てきました。コンサルティング各社がデジタルコンサル部門を相次いで立ち上げているのはその一例です。デザイン(UI/UX)領域などをはじめ、新領域の強化を行っています。
マルチデバイス、IoT/M2Mの拡大により、組み込み系の採用ニーズも増加傾向です。
PMOもカテゴリとしてしっかりと確立しました。海外展開および業務標準化などのグローバルプロジェクトに対応できる人材ニーズも継続して強くなっています。
転職希望者の動向としては、新領域やグローバルプロジェクトへのキャリアチェンジを希望する求職者が増えています。その一方で、企業はこれまで以上に即戦力性を重視する傾向が全体的に強くなっています。
最新の技術スキルを持った人材に対する評価はもちろんですが、ビジネス視点や業界・業務知識、提案・折衝力、マネジメント力・推進力等を持った人材に対する評価やマーケットバリューが改めて高まっているのも感じます。
半藤 剛
【 デジタルプロフェッショナル専門チーム 所属 】 プロフィールをみる
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