ベンチャー 採用動向レポート 2015年〜2016年

ベンチャー企業の採用については資金調達状況と大きく連動してくるところがあります。リーマン・ショックの2008年以降下降線をたどっていた未公開ベンチャー企業の資金調達状況は2014年に大きく改善し調達金額で前年比1.58倍、6年ぶりに1000億円を超える規模になりました。また、フェーズとしては設立1～5年内の企業による大型調達が増え35％を占めています。業種はインターネットを活用した事業モデルを持つ企業が約80％。その他ヘルスケア、バイオ、環境等の企業が増加傾向です。また海外志向の企業も増えており法人登記を海外で行う企業の割合が8％となり、大阪の6％を抜いています。

こうした資金調達を梃子に収益化の加速を目的として採用活動を積極化させる企業が引き続き増加中です。インターネットを活用した事業モデルを有するベンチャーでは、高いスキルをもったエンジニア（創る人）の需要が根強く、アライアンスを推進する事業開発や営業職（拡げる人）のニーズも変わらず高い状況です。また、特徴的なのはスキルに加えてマインド面も重視した選考をする企業が増えていることです。事業理念への強い共感、不確実さを愉しめるマインド、専門分野以外の領域にもマルチに対応できる柔軟性などがそれです。

候補者状況としては、ベンチャーの調達ニュースや海外展開等のニュースがメディアでよく報じられるようになったことも手伝い、大手や外資系からベンチャーへの転職希望を掲げる方も珍しくなくなっています。ただしスタートアップでチャレンジしたい、IPOで一攫千金、といった自己都合な動機ではベンチャー転職に成功することはなく、上記で挙げたような企業が求めるマインドを保有する方が転職を実現されています。

採用を成功させているベンチャーに共通してみられる要素の一つとしては、経営トップ自ら採用活動に積極的であることです。ビジネスPR活動も勿論ですが、信頼できるキャリアコンサルタントと経営トップがリレーションを深め、スキルとマインドの両面から地道なサーチ活動を行い優秀な人材を自ら口説いていくことが重要です。