ベンチャーの採用動向は資金調達状況と連動します。2008年以降下降線をたどっていた未公開ベンチャーの資金調達状況は2013年に増加に転じ、2014年は1000億円を超え、直近の2015年はさらにそれを上回り1500億円超にまでのぼりました。一方、前年と比較すると資金調達総額は増加したものの2015年に資金調達を行った企業数は約20~30%の減少。厳選された企業が大型の調達を行う動きが顕著となりました。
また、こうした調達を梃子に海外展開や収益化の大幅な加速を目的として採用を積極化させる企業が引き続き増加中です。インターネットを活用した事業モデルを有するベンチャーでは、高いスキルをもったエンジニアの需要は依然根強く、加えてアライアンスを推進する事業開発職のニーズも変わらず高い状況です。またベンチャーの採用で特徴的なのはスキルに加えマインド面を重視した選考をする点です。理念への強い共感、不確実さを愉しめる柔軟性、そして給与等の保障を一旦捨てられる覚悟、等がそれです。大型資金調達傾向にあるからといい、最初から提示年俸を大盤振る舞いするベンチャーはあまりありません。心底ビジョンに共感しリスクをも取れる人材を採用するというのがメジャーです。
尚、大型調達ニュースがメディアでよく報じられるようになったことも影響し、大手や外資からベンチャーへの転職を希望する方も珍しくなくなっていますが、スタートアップで一攫千金、面白そうだが年収は下げたくない、といった自己都合や甘い動機ではベンチャー転職に成功することはなく、上記のようなマインド面が成否を分ける結果となっています。
採用を成功させているベンチャーに共通してみられる要素の一つとしては、経営トップ自ら採用活動に情熱的であることです。信頼できるキャリアコンサルタントと経営トップがリレーションを深め、協力して優秀な人材を直接口説いていく。そうして企業力を超える採用を実現する企業も多くみられています。
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